Nicotto Town ニコッとタウン

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星屑の森によせて


昏い夜の淵に、ぽつぽつと灯る記憶のあわい。
私たちはいつから、これほど遠くへ来てしまったのだろう。

さびしい光が、梢のさきで震えている。
それは、むかし誰かが落とした溜息のようで、
あるいは、もう届かない祈りの破片(かけら)のようで、
あんなに優しかった青い夜空の、あれは静かな、涙のあと。風は、だれもいない細道をすぎてゆく。
失われたものの名前を、ひとつ、ひとつ、呟きながら。
僕のてのひらに残された、かすかな温もりさえも、
あえかな銀の粉(こ、)となって、夜の底へ零れてしまう。
ああ、幸福(しあわせ)はいつも、通りすぎたあとにしか見えない。
あんなに優しく、あんなに近くに、君がいたはずなのに。
いまはただ、冷たい幹にこの額(ぬか)を押しあてて、
聞こえない歌を、ひとり、聴いている。
星屑の森は、なにも語らない。
ただ、僕の悲しみを、静かに深く、匿(かく)している。
もう二度と、あかるい朝のなかへ帰れない僕たちを、
つめたい光の、無数の針で、刺しつらねながら。

#日記広場:小説/詩




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