その一輪の花
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/07/20 15:17:30
あたたかな朝陽の、最初のひとすじが
白い霧をひらき、つめたい岩肌を濡らすとき
そこに、だれも気づかなかった、一輪の花が
かすかなひかりを浴びて、ひそやかに咲いてゐた
白い霧をひらき、つめたい岩肌を濡らすとき
そこに、だれも気づかなかった、一輪の花が
かすかなひかりを浴びて、ひそやかに咲いてゐた
遮るもののない湖の、青いみづうみに
どこからか、やさしい風が吹きわたり
眠っていた水面は、ちいさな銀の波を立てる
私の凍てついたかなしみを、揺り動かすやうに
どこからか、やさしい風が吹きわたり
眠っていた水面は、ちいさな銀の波を立てる
私の凍てついたかなしみを、揺り動かすやうに
あぁ、世界はこうして、また目覚めてゆくのだ
私の背負うてきた、重い影をあざ笑うでもなく
ただ静かに、そこにある美しさを差しのべて
私の背負うてきた、重い影をあざ笑うでもなく
ただ静かに、そこにある美しさを差しのべて
花は風にそよぎ、水面はきらきらと応へる
私はまだ、独り、立ちつくしてゐるけれど
この光のなかで、一歩をふみだせるだらうか
私はまだ、独り、立ちつくしてゐるけれど
この光のなかで、一歩をふみだせるだらうか


























