Nicotto Town ニコッとタウン

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午前三時、プラットホームの空白


真夏の月は、冷徹な蛍光灯のようで
誰もいない終着駅の線路を、どこまでも白く晒している。
熱を孕んだ鉄の匂いが、鼻腔を突いた。
ポケットのなか、帰りの切符は
いつの間にか握りつぶされ、ただのクズ紙になっている。
どこへ行くつもりだったのか、
それさえ今の俺には、どうでもいい。
「人生のレール」などと、大仰な言葉はいらない。
俺が歩くのは、ただの気まぐれな獣道だ。
あらかじめ引かれた線の上さえ、
まともに歩けないほどの、いい加減さ。
他人の期待を裏切るのには、もう慣れた。
だが、自分自身の期待を、
こうも鮮やかにすり抜けていく自分には、返す言葉もない。
時計の針は正確に絶望を刻むが、
俺の心は、ただぬるい風に吹かれて揺れている。
自分さえ当てにならない、この決定的な適当さ。
それは一種の、救いなのかもしれない。
遠くで、最後の回送列車が軋んだ音を立てて消えていく。
見上げる空、満月だけが正気を保っていた。
線路の終わりは、何かの始まりか。
それとも、ただの行き止まりか。
まあ、どちらでもいい。
俺はクズ紙になった切符を闇に放り、
線路の途切れたその先へ、靴底を響かせて歩き出す。

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