黒い波濤と、揺れる月光
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/08/10 11:00:35
真夏の月は、巨大な幻灯機となって
底の割れた夜の海を、鈍く、深く照らしつけている。
底の割れた夜の海を、鈍く、深く照らしつけている。
寄せては返す、重たい波の音が
俺のなかの、歪んだ思考をひとつずつ削り取っていく。
生ぬるい潮風が、シャツの襟を乱暴に揺らした。
ここまで歩いてきた理由など、
波打ち際に書いた文字のように、一瞬で消えていく。
俺のなかの、歪んだ思考をひとつずつ削り取っていく。
生ぬるい潮風が、シャツの襟を乱暴に揺らした。
ここまで歩いてきた理由など、
波打ち際に書いた文字のように、一瞬で消えていく。
「ここが世界の果てだ」
そんな大層な感傷に浸るつもりはない。
ただ、歩みを止めるのが面倒だった、それだけだ。
引き返すことさえ、今の俺には
ひどく労力の要る、他人の仕事のように思える。
そんな大層な感傷に浸るつもりはない。
ただ、歩みを止めるのが面倒だった、それだけだ。
引き返すことさえ、今の俺には
ひどく労力の要る、他人の仕事のように思える。
他人の行く末を案じる余裕などない。
ましてや、自分自身の明日の行方なんて、
この寄せる波の、次の形を予測するより当てにならない。
どこまでも行き当たりばったりで、
自分さえ裏切っていく、この決定的な適当さ。
だが、この黒い水の広がりの前では、
その軽薄さだけが、妙に心地よかった。
ましてや、自分自身の明日の行方なんて、
この寄せる波の、次の形を予測するより当てにならない。
どこまでも行き当たりばったりで、
自分さえ裏切っていく、この決定的な適当さ。
だが、この黒い水の広がりの前では、
その軽薄さだけが、妙に心地よかった。
靴のなかに、容赦なく冷たい砂が入り込んでくる。
見上げる空、月はすべてを知りながら黙っている。
このまま波に足元をさらわれるか、
それとも、またぬるい街へと引き返すのか。
まあ、どちらでもいい。
このまま波に足元をさらわれるか、
それとも、またぬるい街へと引き返すのか。
まあ、どちらでもいい。
俺は濡れた砂に深く足跡を残し、
寄せては返す闇の境界線へと、もう一歩だけ近づいた。_
寄せては返す闇の境界線へと、もう一歩だけ近づいた。_

























