Nicotto Town ニコッとタウン

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夢のなかの乗客


遠い雪の夜の 底からひびく汽笛の音(ね)は
まるで私をよぶ あなたの声のやうに切ない
私はひとり 青い寝台のくらがりのなかで
あたたかい幻につつまれるやうに 眼を閉ぢる
ガタゴトと震える 昭和の夜汽車のまどわく
窓のそとは はげしい白のあらしだつたらうか
けれど夢のなかで あなたはしづかに微笑み
私の凍えた手を そつと包みこんでくれる
あんなに遠くへ 行ってしまつたはずのひとが
この狭い二段寝台の すぐとなりに腰をかけて
すぎてゆく駅のともしびを 一緒に見てゐる
汽笛がまたひとつ 闇のむこうで長く尾をひき
私は夢のなかで 切なくあなたに逢つてゐる
もうどこへも行かないでと 心で願いながら

#日記広場:小説/詩




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