Nicotto Town ニコッとタウン

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月明りの酒場とサックス


窓ガラスを叩くのは、雨か、それとも名残の風か。
琥珀色のグラスに沈む氷が、音もなく溶ける。
店の隅、ジュークボックスが息を吐く。
デュークのピアノが静かに夜の扉を開き、
そして、コルトレーンのテナーが低く泣く。
In a Sentimental Mood』。
音の波が煙草の煙を切り裂いていく。
感傷(センチメンタル)、それは毒だ。
だが、この乾ききった喉には、ちょうどいい。
月明かりがカウンターのしみ板を白く濡らす。
過去を振り返るには暗すぎるし、
明日を信じるには明るすぎる。
ただ、サックスの艶やかな息遣いだけが、
行き場のない俺の影を抱きしめる。
グラスを干す。夜はまだ、終わらない。

#日記広場:小説/詩




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