確かな光のなかに
- カテゴリ:小説/詩
- 2026/08/19 10:26:21
私たちは並んで あの夕月を見上げてゐた
季節外れの 寂れた宿の窓辺辺(まどべ)から
かすかな硫黄の匂ひと 微かな星のまたたき
おまえの横顔は その光のなかに確かにあつた
季節外れの 寂れた宿の窓辺辺(まどべ)から
かすかな硫黄の匂ひと 微かな星のまたたき
おまえの横顔は その光のなかに確かにあつた
大勢のなかにゐても 私たちは独りだつた
けれどその孤独は 少しも寂しくはなかつた
おまえの息づかいが 夜の闇の深さに溶けて
二人の沈黙を 優しく充たしてゐたから
けれどその孤独は 少しも寂しくはなかつた
おまえの息づかいが 夜の闇の深さに溶けて
二人の沈黙を 優しく充たしてゐたから
いまはもう だれもゐない古い部屋
私はひとりで あのときと同じ月を仰いでゐる
おまえの姿は もうどこにも見当たらないけれど
私はひとりで あのときと同じ月を仰いでゐる
おまえの姿は もうどこにも見当たらないけれど
あの日交わした みじかい言葉のあたたかさは
この深い闇の底で いまも私を支へてゐる
美しい夕月よ どうかあの人へも届いておくれ
この深い闇の底で いまも私を支へてゐる
美しい夕月よ どうかあの人へも届いておくれ

























