Nicotto Town



昔思い付いたストーリー (続き)

―――――『復讐』―――――


男は夜中に何かぶつぶつ言いながら部屋の中を歩き回っているというのだ。
しかし、本人に尋ねると「消灯後は、朝までちゃんと眠っていた」という。
そんな折、警察に保護を求めてきた男がいた。
理由を尋ねると、36年前の婦女暴行殺人は自分と殺された4人の犯行だった。一連の殺人事件は殺され方からしてその報復に違いない。だから、次は自分の番だというのだ。
担当の刑事は、捜査に協力する事を条件に身辺警護を約束する。
やがて容疑者の男が、保護を求めてきた男の街へ行く情報をつかんだ警察は、容疑者を殺人未遂の現行犯で逮捕する。
逮捕されたとき男は、「この男を殺さなければ妻と私の復讐は終わらない」と叫ぶ(しかし、男に結婚経験は無い)
翌朝留置場で目覚めた男は、「ホテルにいたはずなのに、なぜ私はここにいるのか」と看守に尋ねる。
その後の事情聴取や機械による検査結果からもこの男は事件の事を本当に何も記憶していないのではないか、もしかしたら多重人格者なのではないかという事になり、催眠術を使った精神鑑定を受ける事になる。
すると男は、驚くべきことを話し始める。
自分はこの男の父親で、男の意識が眠っている間だけこの体を使えるのだという事。
そして男が知るはずの無い、父親が戦死する直前の派兵先の様子を語り、自分は派兵先を移動中に襲われ銃撃戦の最中に突然あたりが眩しいほど明るくなったと思ったら何千キロも離れているはずの自宅に居たのだという事。
しかし、妻やこの子に話しかけても反応が無く、初めは夢を見ているのだと思っていたが、やがて自分の死亡通知が家に届き泣き崩れる妻の姿を見たとき、やっと自分は戦死したのだと理解できたのだという事。
その後は、妻子の生活を見守る日々だったが、ある朝妻がこの子を送り出した後に5人の男たちが押し入って来て、抵抗する妻の衣服を引きちぎるように剥ぎ取り全裸にしてベッドに縛りつけ、マリファナを吸いながら代わる代わる何度も何度も欲望を満たした後、口封じのためキッチンから持ってきたナイフを心臓めがけて妻が苦しむのを楽しむように息絶えるまでゆっくりと刺していったという事や、証拠隠滅の方法、男たちの会話からあらかじめ妻が一人になる時間帯を調べた上で押し入ったらしい事やそれぞれのアリバイ工作の相談をしてから出て行った事など、36年前の事件当時3歳でしかも現場にいなかったこの男が知るはずの無いそして当時の捜査技術や現場検証では分からなかった犯行の一部始終を細部にわたって語った。
そして、やつら5人には見えなかっただろうが、自分は実体を持たないゆえに何もできず、わが身を切られるような思いであの時の全て見ていたのだと言い、妻の魂が体を離れて天に昇ってゆくとき、たとえ何年かかろうと必ず復讐することを誓ったのだという。
事件後は息子に憑いて行動しているが、当時子供だったこの体に乗り移る事を覚え、思うように扱えるようになるまで10年近くかかってしまった事、そして息子に気付かれないように妻を殺害した男たち全員の消息をつかむには、さらに25年を費やしたという。
また、男がハイスクール時代に起こした傷害事件は、息子が気を失った後、不良グループが息子に二度と手を出す事の無いよう父親である自分が徹底的に叩きのめしたのだという。(男の父親は生前、全米軍隊格闘術大会で何度か入賞経験を持っていた。)
その後、この男の話した事柄が全て事実である事が確認される。
そして、この不思議な事件はマスコミが大々的に報道しことにより、『出征兵士の家を襲うようなやつらは殺されて当然だとか、どんな理由があっても人の命を奪う事は許されないとか、人の体に霊が乗り移る事など本当にあるのかとか、霊に乗っ取られた状態で犯した犯罪はどう裁くのか・・・など』全米で大きな議論を巻き起こすこととなる。
その後の裁判で、今回の計画的かつ残忍な連続殺人は、この男の知らないところで起こったものだったとして男は無罪となり釈放される。
しかしその後、男の母親を殺した最後の一人が事件と全く同じ方法で殺害される。
これは、裁判やマスコミ報道により全てを知ってしまった男の犯行か父親の犯行かそれとも・・・

アバター
2009/05/17 07:17
父親の残留思念が息子以外にも影響するようになった。
それは、息子では最後の男を始末できなくなったためである。
どうしても最後までやりとげないとこの思念は消えることがないからだ。



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