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つくしのつれづれノート


この冬読みたい小説として「八甲田山」はいかが?

ダイレクトに冬そのもののイメージである「八甲田山」

「八甲田山」は実写映画版のタイトルであり、原作小説のタイトルは「八甲田山死の彷徨」という大河ドラマ史上最大級のヒットになった「武田信玄」(88年)に並ぶ小説家新田次郎の代表作です。

この「八甲田山死の彷徨」を要約すると
明治の日本陸軍の一個大隊が冬の雪山で遭難し全滅するという話です。


これは20世紀初頭に日露戦争の準備をしていた旧陸軍が戦場になる満州の防寒対策ため実験的に八甲田山を210人の部隊で雪中行軍を行ったところ、大寒波に遭遇して全滅したという事件を扱ったノンフィクションであり、
映画「八甲田山」では実際に極寒の冬の八甲田山の遭難すれすれのところで撮影を行い、炊き出しのカレーが1分で凍りついたというのを聞いたことがあります。(あまり厳しい環境の為逃げ出した出演者がいたとか…)
映画作中でも吹雪の中漏らしたおしっこが一瞬に凍り付いて凍死に至ったり、寒さで気が狂って裸になるというような観てるだけで凍える悲惨な映像のてんこ盛り。
作中でソフトバンクのお父さん犬(北大路欣也)が「天は我々をを見放したァ!」と叫びたくなる気持ちもわかります。


…がしかし、
これを上回る小説・映画が存在するわけで…
それが同じく新田次郎の小説「聖職の碑」です。
こちらは小学生が集団遠足で上った山で遭難します。
これは大正時代の長野県の中箕輪高等小学校(現・箕輪町立箕輪中学校)の年中行事の駒ケ岳の集団登山中に台風に遭遇して遭難し、結果児童を含め11人が凍死した事件を基にした小説です。タイトルの「聖職の碑」は上記の遭難事件を風化させない為に建立された慰霊碑のことであり、現在でも事件の舞台になった箕輪町立箕輪中学校では慰霊を兼ねた駒ケ岳集団登山が行われているとのこと。
上記の「八甲田山」が戦場での死を覚悟した将兵が犠牲になったのに対して、「聖職の碑」では登山遠足を楽しみにしていた児童が犠牲になる為、その悲惨さは「八甲田山」の比ではありません。
この「聖職の碑」も78年に映画化されており、しかも「八甲田山」のスタッフが引き続いて製作した為、「八甲田山」partⅡと言えるかもしれません。
作中では寒さをしのぐ為子供たちが遠足用のお菓子として持ってきたお餅を今にも消えそうなマッチで焼いて食べたり、校長が着てた着物を今にも凍え死にそうな児童に着せてかばったりするようすが描かれます。(結局両方とも凍死します)
とにかく見てるだけで凍えてきます。


もはや小説というより映画紹介になってしまいましたが冬ということでこの新田次郎の名作二つを読んで冬の寒さをさらに味わってみてはいかがでしょうか…?

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2017/02/05 02:13
うん!うん!まさにその通り!「聖職の碑」は読んでませんけど、読んでみたい小説です。

で、私の方から、冬の寒さを感じる小説を一つ紹介します。

吉村昭氏の「羆嵐」が、お勧めデス。これも、実際にあった事件で「三毛別羆事件」で検索できます。

これは、北海道の開拓民の厳しい生活+極寒+羆の恐ろしさで、寒さをより一層感じますゼ?
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2017/01/19 17:52
八甲田山は中学の映画鑑賞会(体育館)で見ました。
衝撃的すぎて一生忘れない思い出です。
原作は読んでないですが〜。
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2017/01/19 13:26
「天は我々を見放したァ!」は映画のヒットを受けて、
(オヤジギャク的に)いろんなところで聴いた記憶があります。

PS.この映画も真面目に通してみてないです。見なければ。
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2017/01/17 20:10
むかーし中学生の頃、たまたまTVでやっているのを見て、
ずーんと重い気分になったのを思い出します(^^;
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2017/01/17 05:36
新田次郎「聖職の碑」知りませんでした
そんな悲惨なことがあったのですね
紹介ありがとうございました




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