Nicotto Town



洲川の戦のことだ

洲川の戦のことだ。その戦では確かに馬は使った。しかし他の戦ではだというと。
「しかし他の戦ではな」
「鉄砲や長槍は多いですが」
 それでもだったのだ。
「しかしですな」
「うむ。確かに馬は少なかった」
 他には桶狭間でも使ったがそれでもだった。
「しかし今ここでじゃ」
「馬を使われますか」
「そうする。それではじゃ」
 こうしてだった。本陣の前に騎馬隊が集められる。それからだ。
 道が開けられる。織田の兵達が左右に退く。それは先程までよりも派手に動いたものだった。
 それを見てだ。元親は足軽達に対して言った。
「ふむ。これまでは先に進んでおったが」
「それを止められるのですか」
「そうされるのですか」
「うむ、止める」
 まさにそうだというのだ。
「ここはな」<a href="http://www.vc04.com" title="http://www.vc04.com">http://www.vc04.com</a>
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「しかしそれではです」
「敵に攻められますが」
「いや、かえって危うい」
 そうなるというのだ。
「だからじゃ」
「ここはですか」
「攻めるのを止められますか」
「槍を前に構えよ」
 これは変わらなかった。
「そしてそのうえでじゃ」
「そのうえで?」
「そのうえでといいますと」
「まずは防ぐ」
 そうするというのだ。
「敵の馬をな」
「そういえば前に」
「馬が集まっております」 
 見ればそうなっていた。前から馬が来ていた。
 元親もその馬達を見ていた。そうして言うのだった。
「我等は馬がない」
「はい、残念ですが」
「馬はありませぬ」
 これが長曾我部軍の弱点だった。それでだった。
 彼等は槍を前に構える。そのうえでだ。
 あらためて前に進む。そこにだった。
 長可率いる騎馬隊が来た。長可は己が率いる騎馬隊に対してこう言うのだった。第百三話 鬼若子その十二

「よいか。道は開いておる」
「はい、確かに」
「それではですな」
 信長が開けさせた道だ。足軽達は今も左右に開いたままだ。それは川が左右に開いている姿そのままだった。
 その開いた川と川の間に長曾我部の軍勢と長可の騎馬隊がいる。その彼等の衝突今まさに迫ろうとしていた。
 その騎馬隊の先頭にいてだ。長可は馬で突き進みながら言うのだ。
「このまま進む。しかしじゃ」
「しかし?」
「しかしとは」
「槍が来るぞ」
 先程まで好きなだけ暴れていた長曾我部の槍がだというのだ。
「あれがのう」
「ううむ、馬に槍となると」
「厄介ですぞ」
 騎馬武者達は顔を顰めさせて述べた。
「それが来るとなると」
「ここは」
「いや、やり方はある」 
 長可は冷静そのものの声で彼等に述べる。
「これはこれでな」
「といいますと一体」
「どうされるのですか?」
「こちらもやりの使い方はある」
 こう言うのだった。
「突く、叩く、それ以外のやり方がな」
「といいますとそれは?」
「どうやるのですか?」
「投げよ」
 そうせよというのだ。彼等が手にしている槍をだ。
「よいな。そうせよ」
「槍を投げるのですか」
「我等の持っている槍を」
「今はですか」
「そうじゃ。槍を投げるということはまずない」 
 少なくとも日本には殆どなかった。だから長可もこう言ったのである。
「しかしここはじゃ」
「投げますか」
「そうされますか」
「敵の思わぬやり方でいく」
 つまり虚を衝くというのだ。ここでもだ。
「そうするぞ」
「そうして勝ちますか、ここは」
「この戦は」
「うむ、弓でもよいがな」
 騎馬から弓を放つやり方はあった。源平の頃はそうして戦うことも多かった。戦国の世では今一つ廃れてはいるがだ。
 実際に織田の騎馬隊も弓は持っていない。だからこそ槍を使うのだった。
「ここは槍じゃ」
「はい、それでは」
「槍で」
 武者達も頷いてだった。それぞれ槍を利




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