Nicotto Town



完成は近いですから

悚省?
「はい、実は」
 荒木もそのことを否定しない。信長にありのまま答える。
「茶器もまた」
「そうじゃな。しかしこの度の茶会は御主は呼べぬ」
「公卿のお二人に利休殿に」
「それにフロイスじゃ。これで茶室は窮屈になってしまうわ」
 茶室は狭いものだ。その狭い中に信長を入れて五人も入ればそれだけで一杯になってしまうというのだ。
「それでじゃ」
「ですか。それでは」
「また今度にしようぞ」
「ではその時には」
「御主が茶を淹れよ」
 信長は笑みに戻って荒木に告げた。
「よいな。楽しみにしておるぞ」
「さすれば」 
 こうした話をしてだった。信長は利休と交え二人の公卿とフロイスが会うことの橋渡しをすることになった。このことについて義昭は細川達にこんなことを言っていた。
<a href="http://www.t825.com" title="http://www.t825.com">http://www.t825.com</a>
<a href="http://www.t825.com/ceramic-player-l58o-6.html" title="メンズ 時計 ブランド おすすめ">メンズ 時計 ブランド おすすめ</a>
<a href="http://www.t825.com/divvy-l58o-9.html" title="ニクソン ヘッドホン">ニクソン ヘッドホン</a>
 場所は仮の御所だ。そこにいてこう彼等に言う。
「信長も細かいのう」
「近衛様と山科様のことですか」
「そうじゃ。お二人を南蛮の坊主にか」
「会う場を用意されるとのことです」
「そうしたことまで信長はするのか」
「その様です」
 その通りだと答える細川だった。
「茶の席において」
「茶室でか」
「利休殿が茶を淹れられるとか」
「凝るのう。そこまでするか」
「いえ、それは」
 細川はそこまでせずともよいではないかという義昭の言葉に対して平伏しているが真面目な面持ちで顔を上げて述べた。第百七話 地球儀その十

「当然かと」
「当然だというのか」
「はい、あのお二人は公卿の方々の中でも別格です」
「それはわしも知っておるぞ」
 義昭はその甲高い声で答える。
「得に近衛殿はじゃ」
「五摂家の筆頭近衛家の主ですから」
「まさに別格じゃ。しかしそのお二人をじゃ」
「茶の席においてです」
 まさにそこでだというのだ。
「その南蛮の僧侶とです」
「そんなことは信長がせずともよいと思うがのう」
「ではどなたが為されるべきだと」
「普通に会ってよいのではないか?」
 これが義昭の考えだった。
「都の何処かの寺でな」
「そこでだというのですか」
「そうじゃ。本能寺でも何処でもじゃ」
「ですが切支丹は他の寺社には入られませぬ」
「そうなのか」
「ですからそれは」
 他の寺社の中でお互いに会うことはできないというのだ。細川はこのことを知っているが義昭は知らない。
「できませぬ」
「だから茶の場を設けてか」
「そのうえで、です」
「難儀なことじゃのう。しかも信長も同席とは」
「それもまたです」
「またか」
「はい、織田殿のお考えあってのことです」
 細川は信長の考えがわかっていた。しかし義昭はこのこともわかっておらず素っ頓狂な感じの顔のままだった。
 そしてその顔でこうも言う。
「まあ信長がそうしたいのならじゃ」
「それでよいと」
「わしがあれこれと言うことではない」
 こう言ったのである。
「だからよいわ」
「左様ですか」
「うむ。信長がそうしたいのならそれでよい」
 あくまで信長に任せる。ただし何もわかってはいない。
「ではこのことはそれでよしとしようぞ」
「そうされますか」
「信長もわしがいちいち口を出しては迷惑じゃろう」
 今度は余裕の笑みを見せるがその余裕が根拠のないものであることは彼だけが知らないことだった。
「ではじゃ」
「このことはこれで、ですか」
「言わぬ」
 義昭は細川に笑って答えた。
「信長の好きな様にすればよかろう」
「ですか」
「さて、二条城が完成すればじゃ」
 義昭の頭の中にあるのは今はこのことだけだった。とにかくそこに入りそこから己の威厳を示そうと考えていたのだ。
 そのことだけを考えこう言うのである。
「早速入ろうぞ」
「完成は近いですから」
「うむ、 




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.