Nicotto Town



地図の片隅に⑤

「上床版の合成短繊維については剥落防止のためにも必要だと思います」
中川さんが躯体上床版のコンクリート仕様について述べる。
今日は東京都建設局の建設事務所に施工計画の説明に来ていた。
今回の線路下横断構造物については建設こそ鉄道会社主体ですすめられるものの最終的な保守管理は道路管理者にゆだねられる。基本的には中川がすべて説明し、建設事務所からの質問にも対応するが、詳細な計画を聞かれた時のために秋人も同席している。
「ではこれで失礼します」
打ち合わせが終わり建設事務所を出る。
「結構いい時間ですね」
時間は5時になろうとしていた。
「どうですか?これから一杯」
妙にうれしそうな中川が尋ねる。
「すいません。気持ちはうれしいのですが…。ちょっと仕事を残していまして」
そうですかといって中川は残念そうな表情を見せる。
「それじゃあ」
電車を降りると二人は別れた。
現場につくと出入り口の前に少女がぽつんと立っていた。
「おっ、今日は入らなかったんだな。えらいえらい」
「今日はどこに行ってたの?」
「今日は東京都の人に工事の説明をしに行ってたんだよ」
「なんで東京都なの?」
「そりゃ工事するのは俺たちだけど、メンテナンスするのは管理者だからだよ」
「メンテナンスって?」
「土木構造物ってのは大体50年から100年くらい持つように設計・建設されるんだけどそれは適切な点検・補修があっての話なんだ」
「ふ~ん」
「建設に興味があるの?」
秋人は聞いてみた。
「ん、まあね」
「そう。ほんとは現場案内してあげたいところだけど、俺の権限じゃ無理なんだよね。まぁ外から見る分には問題ないし、知りたいことがあれば教えてあげるよ」
秋人はそれだけ告げると現場の中に入っていった。

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2017/03/21 13:20
土木構造物の寿命は50~100年なんだね!
だから外装工事したりメンテしてるんだねー。
うちのマンションはちなみに平成元年生まれよw



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