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シグキーリア


 アラキの大冒険part3序章 その④


    アラキの大冒険part3序章 その④

  「自分でそこまで思えるんだったらいいん
 じゃないの?勿論それで逃がしたポケモンが
 救われるわけじゃないけど。
 考え方を変えれば、他の物事も同じよ。
 野球チームを組むときだってメンバーが選別
 されるし、選ばれない人だっている。
 厳選だってそう。対戦という舞台に出る為に
 個体を厳選し、選ばれなかった者は出られない。
 でももし選ばれなくても応援する事は出来る。
 ポケモンなにも対戦がすべてじゃないわ。
 よくポケモンを逃がすのが心痛むからその必要が
 ない乱数調整に走る人もいるけど、
 私としてはどっちにもメリットがあるし
 デメリットもあるとおもうの。
 厳選は余計な個体を生んでしまう分逃がさな
 ければならない箇所も出てくるけど、日にちを
 弄らないから思い出はしっかり残るし良個体が
 出た時感動が生まれる。
 逆に乱数は、余計な個体を生み出さない分
 スペースを圧迫しないし理想個体が導き出される
 から対戦向きではあるけれど、感動も薄いし
 生まれた日時も現実とは違う。
 だから対戦を取るか、感動を取るか、そこで
 結構わかれるかもしれないけど、大体の人は
 そのポケモンを活躍させたいと願うし、
 それだけにポケモンが好きなんだと思うわ。
 厳選にしろ乱数にしろ、非常に複雑なデータの
 中で自分を見つけ出してくれたって感謝している
 ポケモンだっていると思うわ。じゃなけりゃ
 生まれてこない子だっているんだし。
 生み出してくれた恩を活躍で返すのがトレーナー
 に育ててもらったポケモンの務めだとも思うし、
 選ばれなかった子は選ばれた子を応援していると
 思うの。
 だから本当は、ポケモンは人間のそんなところ
 よりももっと嫌うことがある。それが
 試合放棄。所謂「切断」ね。
 さすがにあの行為は私でも許せないわ。
 勝負なんだから勝つ者がいれば負ける者もいる
 もの。それをなかった事にしようとするなんて
 最低よ。
 私にも元々人間界にいたポケモンの相談者が
 いたからその話を聞いた時にはものすごく
 腹が立ったわ。お互いにポケモンは頑張って
 居るのに勝敗をなかった事にするんですもの。
 対戦しているポケモンは何よりも、人間の都合で
 勝負を中断されることが嫌いなんですって。
 勝つにしろ負けるにしろ最後まで戦いたいのが
 彼らの望みだって聞いたわ。
 アラキ君は切断なんてしないでしょ?」
 そう言ってアノートが僕のほうを見る。僕は、
 「勿論。僕はいつでも最後まで戦いとおすよ。
 無理だと思ったら潔く降参するけど
 必要以上にポケモンを戦わせたくはないしね。」
 と僕はアノートに言った。
 「うん。君の性格から絶対そんな卑怯な事は
 しないってわかってた。ちゃんと確認できて
 安心したわ。
 今のポケモン勝負はそういう時代だし、ちゃんと
 ポケモンとルールを守っているなら私は何も
 言わないわ。それに貴方はちゃんとポケモンの
 事を思ってる。だから私は怒らないの。
 これで私が貴方を怒らない訳、納得した?」
 そう言ってアノートが僕に笑いかける。僕は、
 「う、うん。納得した。」
 とぎこちない返事を返す。
 「よかった。貴方はほかの人も普通にやっている
 事にたいして罪悪感を抱き過ぎなのよ。分かってる
 ポケモンは責めないから安心していいのよ?」
 そう言うアノートに僕は、
 「うん。ありがとう。おかげで少し気が楽に
 なったよ。」
 そうお礼を言った僕にアノートが、
 「でも私はちゃんとそういう所を心配してくれる
 アラキ君のそういう所が好きだな。」
 そう囁くアノートに僕は、
 「え・・・っ!?」
 と顔を赤らめた・・・。

      アラキの大冒険part3第1章 その①に続く 




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