Nicotto Town



ぼんくらティルト【4】結成!リリカルフォース!

フツツカ魔法学院では、チーム・個人を含めた総合成績が最も悪かった1チームが留年となる。

つまり毎年、留年する生徒が最低でも4人出ることになる。
シオ・タイオーのように個人の成績が優秀でも、所属チームの成績が悪ければ連帯責任で留年扱いとなる。
また、総合成績が良くても不正や悪事が発覚すれば、その場で留年もしくは強制退学になる。

「シオ・タイオー。残念ながら、あなたには学院に留まってやり直す機会はありません。
あなたのお父様から早く家に帰ってこいと連絡がありました」
「何っ!?ち、父上が…!?」トルテ学院長の通達にショックを受け、ガックリ膝をつくシオ・タイオー。
シオ・タイオーは、相棒の武具である聖剣を返納し、学院長室から出ていった。
「ミトーシ・アマスギ、あなたはどうしますか?」
「ええ~、どうしようかな~?やりたいことも将来の夢も特にないし…とりあえず、実家に帰って考えるわ」
ミトーシ・アマスギは、マネルメタル化して形状が定まらない武具を返納して、学院長室から退出した。
「サツキ・ヤマイ。あなたはシーナガルドの村で長期療養することが決定しました。したがって…」
「あ~、はいはい。剣と盾、甲冑もお返しします~。じゃ、そういうことで」
サツキ・ヤマイは、どうせそんなことだろうと思ったよという顔をして、
片手剣&盾を無造作に置き、甲冑をその場で脱ぎ捨て、咳をしながら学院長室を出ていった。
シオもミトーシもサツキもあっさり退学していったので、ひとり残されたティルトは、あっけにとられていた。
「それで…ティルト、あなたはどうするの?」「わ、私は…!」

ティルトは、1年前の時と同じく緊張した面持ちで寮室のドアをノックした!
「いらっしゃ~い!今、ちょうどお茶が入ったところだよ~」小柄なエルフの少女が優しく出迎えた。
「チュニスはん、おおきに。お茶菓子まで用意してくれとるやなんて気が利くなぁ」と、関西弁で喋る眼鏡っ娘。
「どんだけお嬢様なのよ、アンタは…」ツインテールの少女がびっくりしてみせる。
「何ボーっと突っ立ってんの?こっち来なよ!えっと…」「ティルト・ウェイトです」
「あたしは、リコシェ。リコシェ・スピッツ。新入生。ホウキに選ばれたから魔女クラスなの」
「うちは、セリカ・マルローネ。錬金術師クラスの新入生や。よろしくな、ティルトはん。
で、こっちのエルフのお嬢様は…」
「チュニス・セラムです~。衛生士(メディック)クラスに入った1年生です~。
この子は月齢の杖。真っ先に私を選んでくれたんですよ~」
「そ、そうなんだ…」随分おっとりした子だな…とティルトは思った。
「わ、私は、ティルト・ウェイト。魔法使いクラスの1年生。みんなの足を引っ張らないように…」
「ティルトはん!トルテ学院長の娘だからって、1年留年したからって何や!
そないなこと、たいした問題やあらへん!悪口言うてる奴は勝手に言わせとけばええねん!」
「ま、そういうことだから。あたしたちはあたしたちなりにこれから頑張っていけばいいんじゃない?」
「てか、うちらのチーム名は何にする?せや!『リリカルフォース』っていうのはどうや?」
「え~、何その魔法少女戦隊っぽい名前~」リコシェは口を尖らせた。
「わ、私はいいと思うな!リリカルフォース!」ティルトは興奮気味に言う。
「リリカルフォース…何かいい響き~」チュニスは紅茶を飲みながら答える。
「ティルト、チュニス…アンタたち、マジで言ってるの?いや、別にいいけどさ…」
「じゃ、『リリカルフォース』で決まりやな!さっそく、チーム名を登録してくるわ!
リーダーは私にしとくさかい、大船に乗った気でゆったり構えててや!」
セリカは、登録用紙に記載するやいなや生徒会室にすっ飛んでいった。

この「リリカルフォース」が後に数々の伝説を築くことになるのだが、それはまた別のお話…。

ーつづくー




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