Nicotto Town


小説日記。


渦巻く嫉妬の甘き恋心

# - 腐った水


 ぬるい水が喉を通る。
 空っぽになったコップから、もう水は溢れない。



 嗚呼
 こんなに傍に居るのに

 貴女は私と違うのね どうして?

 感じる痛みさえ飲み干して、ただ傍に居られる方法だけを考えて生きていたいの


 寄る辺ない感情が溢れた夜は、貴女を想って嫉妬に狂う

 鏡合わせの二人みたいに、見る夢まで一緒なのね



「貴女は私」

 差し伸べた手が頬に触れる。
 
「私は貴女」

 互いの頬は熱を帯びて、指先は氷のように冷たい。
 黄金と青紫の目が見つめ合い、白銀と白の髪は交じり合う。
 吐息のような温もりが、空洞を閉じ込めて触れ合う。

 交わしあった唾液は甘く、血の味がした。

 ぬめる舌の柔らかさに似て、心まで肉のように噛みちぎる。
 噴き出た紅を舐めて吸うのも、まるで優しさのように溶け合った唇。



 死なない 知らない 死ねない 知れない

 こんな役立たず

 息を吸うのも苦痛なの



「何が違うの」

 奈落に堕ちた憶いを拾う。
 捨てきれなかった懷いを集める。

「何も違うの」



 貴女の琥珀色の目が欲しい

 綺麗な目

 愛されている者の目

 愛している者の目

 二人で分けて半分こね



「少しだけ」

 投げ出された手と手が絡み合う。
 琥珀色の目。
 私と一緒、どこも見てない。
 怯えた目。
 震える瞳孔。
 潤んだ瞳。
 笑う口元。

「交換してあげる」




*****


あ^~




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