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星の王子さまは「モラハラ」で殺された!?


星の王子さまは「モラハラ」で殺された!? メルヘンチックな装いでコッソリ明かされる、この世界の恐ろしい秘密
『星の王子さま』の真実
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47704

文・安冨歩(東京大学教授)

■恐ろしい世界の構造が書かれた『星の王子さま』

サン=テグジュペリの『星の王子さま』は、全世界で大ベストセラーとなっており、一億数千万部も売れたそうである。私はこれは、実に不思議なことだと思っている。なぜかというと、この本は、大人が、自分自身の目からも押し隠している、この世界の恐ろしい秘密が露骨に書かれているからだ。普通なら、こんな恐ろしい本を、子どもには絶対に読ませたくないはずである。

ところが。

どういうわけか大人たちはこの本を「子ども向けの無害で有益なメルヘン」か何かだと勘違いしていて、せっせと買っては自分の子どもに与えている。実に不思議である。

では、この本には何が書かれているのだろうか。

私の見るところこれは、家庭内における女性による男性に対する「モラル・ハラスメント」が主題であり、さらにそれを助長するおせっかいやきの外部者による「セカンド・ハラスメント」によって、王子が自殺に追い込まれる物語なのである。

そんな馬鹿な、と思われるかもしれないので、この小説のストーリーを時系列順にまとめてみよう。それだけで、私が言っていることがおわかりいただけるはずである。


■王子とバラのこじれた恋愛関係

最初、王子は自分の小惑星で孤独に暮らしている。そこに種が飛んで来て、やがて芽を出す。「バオバブ」という危険な植物ではないかと注意しているが、詳細に観察してそうではないことがわかり、王子は抜かずにおいておく。やがてその植物は成長してつぼみをつくり、延々と勿体ぶって念入りにおめかしし、朝日と共に王子の前で花開く。


その美しさと香りに魅了されて「あなたはなんと美しいんだ!」と王子が言うと、バラは「でしょ?」と返事して、なんで私に水をくれないの、となじる。

こういうたぐいの微妙な攻撃を繰り返し、王子に悪いのは自分だと思い込ませ、さらには自責の念を抱かせる。バラは、王子を魅了しつつ言葉の棘でチクチクやる、ということを繰り返し、やがて王子は辛くなって、一日に夕日を44回も見るほどメランコリックになる。

これはつまり、バラがモラル・ハラスメントを王子に仕掛けている、ということである。

耐えられなくなった王子はついに、星を捨てて家出する決意を固める。念入りに星を掃除して、バラにさよならを言いに行く。王子は出て行くと言ったら、どんなひどい攻撃を受けるかと身構えていた。しかしバラは「あなたが好きよ」「おしあわせにね」「あたしばかだったわ」とか言う。この意外な反応で、王子への呪縛が完成するのである。

王子はのちに飛行士に対して、次のようなわけのわからないことまで言っている。

「ぼくは彼女の言うことなんか、聞いてはいけなかったんだ」

ある日、彼は私に打ち明けた。

「花の言うことなんか聞いてはいけない。花は見て、香りを嗅がなければいけない。ぼくのバラはぼくの星をいい香りで包んでくれた。だけどぼくはそれを楽しめなかった。あの爪の話だって、ぼくをうんざりさせるのではなくて、ぼくに同情させようとしたんだ……」

……

どうしてこんな危険な本を、大人は身銭を切って、せっせと子どもに与えるのであろうか。
……

詳しくは、
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1456017&id=11588227#comment_id_1442167330
をご覧下さい。

『誰が星の王子さまを殺したのかーーモラル・ハラスメントの罠』安冨歩著
 (赤石書店、2160円)
アマゾン
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4750340456/ref=as_li_ss_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=7399&creativeASIN=4750340456&linkCode=as2&tag=pprince1003-22

王子はバラに支配され、その苦しみを抱えて生きていた―。なぜ王子はバラの棘の話で激昂したのか、なぜ王子はヒツジを欲しがったのか。モラル・ハラスメントの視点から読み解くまったく新しい『星の王子さま』論

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モラル・ハラスメントという観点から見た、あらたな『星の王子さま』論です。
子供むけの本ではないのは確かですが(子供が読んでもよく理解できない)、
apprivoiser「飼い慣らす」という訳やバラと王子の関係性など、少し誤解があるのではないでしょうか。
王子=飛行士(王子は飛行士の分身。少なくとも精神的につながっている。)といった視点も抜けています。王子は死んだとも取れますが、バラのもとに帰還したともとれます。物質としての体はさして重要ではなく、精神面を重視しているのです。
おそらく、一つの日本語訳から考察しているようで、原書は不読か、フランス語には疎いようです。そういう僕もフランス語はよく分かりませんが、様々な日本語訳や論文などを見ていると、apprivoiserは、おそらく一方的な関係ではないと思います。「飼い慣らす」というと、かなり支配的な意味ですが、「なつく」という訳や「仲良くなる」といった双方向の関係でもあるはずです。
つまり、王子は花をapprivoiserし、花は王子をapprivoiserしたのです。岩波版の内藤訳では、日本語訳が完全に逆になっているところもあります。
これは、サンテグジュペリが、「飼い慣らす」とも「なつく」とも「仲良くなる」ともとれる言葉をあえて遣い、読者のとらえ方に委ね、ある人には恋愛の切なさや、ある人には家族や大切な人との絆、ある人には今回のようなモラハラともとれる仕掛けをあえて忍ばせた物語なのだと思います。
この物語は、恋愛に特化した話ではなく、もっと広い読みときの出来る話ですし、モラハラは極論といえるでしょう。(この読みときを否定するわけではありません。こうした解釈も、もちろんありです。)

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