Nicotto Town


アクエリアス


マザーのお話


ある夜のこと、一人の男性が訪ねてきて
「8人の子持ちのヒンズー教徒の家族が、このところ何も食べていません。
食べるものがないのです。」と告げてくれました。

そこで私は、1食に十分なお米を持ってその家に行きました。
そこには、目だけが飛び出している子どもたちの飢えた顔があり
その顔がすべてを物語っていました。

母親は、私からお米を受け取ると
それを半分に分けて、家から出て行きました。
しばらくして戻ってきたので、「どこへ行っていたのですか?」と尋ねました。

「彼らもお腹を空かしているのです。」という答えが返ってきました。
「彼ら」というのは、隣に住んでいるイスラム教徒の家族のことで
そこにもおなじく8人の子どもがおり、やはり食べるものがなかったのでした。

この母親はそのことを知っていて
わずかの米の一部を、他人と分け合う愛と勇気を発揮したのでした。

自分の家族が置かれている状況にもかかわらず
私が持って行ったわずかの米を、隣人と分け合うことの喜びを感じていたのです。

その喜びを壊したくなかったので
私はその夜、それ以上の米を持って行くことはせず
その翌日、もう少し届けておきました。






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