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「世界最大の犯罪組織」山口組の分裂危機に海外も注目 “出自のタブー”にも言及- 記事詳細|Infoseekニュース

http://news.infoseek.co.jp/article/newsphere_25517/


NewSphere / 2015年8月31日 12時12分

最大の指定暴力団・山口組で組織分裂の動きがあり、
警察と政府は大規模な抗争に発展する恐れもあるとして警戒を強めている。
映画などから“YAKUZA”の存在が広く知られる海外でも、
複数のメディアでこの話題が詳しく報じられている。
英ガーディアン紙は、その経済的影響力や組織拡大力の強さから、
山口組を米スーパーマーケット・チェーンにたとえ、
「暗黒街のウォルマート」と表現。
内部抗争勃発の動きについて「これまでで最も激しい対立になると見られている」
と報じている。

◆関西派閥が傘下から離脱か

山口組は神戸市に本拠を置く構成員・準構成員数2万3000人余りの巨大組織だ。
米フォーチュン誌は昨年、世界でダントツの800億ドルの収益を上げたとし、
「世界の組織犯罪グループトップ5」の1位に挙げた。
これに従えば、
日本メディアは山口組を「国内最大の指定暴力団」と表現することが多いが、
海外視点では「世界最大の犯罪組織」ということになる。
それだけに、政府もその動きに敏感だ。
菅義偉官房長官は28日、山口組内部で混乱の兆候があると、
異例の声明を発表。
政府と警察にとっては、組織を弱体化させる絶好の機会だと力を込めた
(ウォール・ストリート・ジャーナル紙『Japan Realtime』)。

警察庁によれば、
最近、組織運営に不満を唱えた傘下13団体の組長が「絶縁」や「破門」の処分を受けた。
これらの反対勢力が来月初めの幹部会に向け、
山口組を離脱し、新たな組織を立ち上げようとする分裂の動きがあるのだという。
背景には、傘下の名古屋を拠点にする『弘道会』と、
『山健組』を中心とした関西グループとの派閥争いがあると見られている。
NHKなどの国内報道によれば、分裂の動きに合わせ、
総本部を神戸から名古屋に移そうとする動きもあるという。

六代目の司忍(つかさ・しのぶ、本名・篠田建市)現組長は、『弘道会』出身だ。
同組長が就任した2005年以降、
『弘道会』出身者を優遇した人事が行われていることや、
組織に収める上納金が高額になったことが、
『山健組』を中心とした関西派閥の不満につながっているようだ。
警察当局によれば、司組長派は約7000人、
トップが更迭された関西13団体の構成員は合計3300人程度だが、
実際に分裂に向かう場合、この通りの勢力図になるかどうかは今のところ不透明だ。

◆背景に東日本と国際犯罪へのシフトも

ガーディアンは、司組長が就任後、
東京を中心に東日本へ「縄張りをシフトした」ことも、関西派の不満を高めたと見る。
「日本で最も力のあるマフィアのドンとなった73歳は、
特定のメンバーを優遇するなど、
組の伝統的な縄張り(関西)から遠くはなれた地で勢力を広げている。
これが系列の組員たちを怒らせた」と同紙は記す。


ガーディアンは、日本の暴力団は近年、
警察の厳重な取り締まりや当局の締め付けに苦しんでいると指摘する。
これに日本経済全体の低迷が加わり、
「1980年代のバブル期よりも暴力団に加わることの魅力は低下している」と、
構成員数が減少し続けているデータを提示。
同紙のインタビューに答えた日本の組織犯罪に詳しいジャーナリスト、ブレット・ブル氏は、
「簡単にいえば、東京の方が金になるということだ」とコメント。
東京には、“業界第2位”の稲川会があるが、
山口組の幹部と稲川会の組長が「義兄弟」の関係を結んでおり、
同会も事実上の山口組の支配下にあるとされている
(米ニュースサイト『Daily Beast』)。

山口組は、国内での活動が制限されるのに伴い、海外進出も図っている。
2012年には、武器密輸、売春、人身売買、
マネーロンダリングなどの国際犯罪に関与した証拠が上がったとして、
アメリカ当局が山口組の米国内の資産を凍結した。

◆「根源は韓国・朝鮮系vs被差別部落系の争い」と米メディア

フォーチュン誌のランキングでは、山口組は、
2位のロシアン・マフィア『ブラトヴァ』(収益85億ドル)を大きく引き離してトップに立っている。
同誌は、「中国マフィアなどの東アジアの犯罪グループは、
多くは血縁関係で結ばれているが、
ヤクザは“入念に作り上げられたヒエラルキー”で結ばれている。
メンバーは一度加入すれば、
全ての忠誠心を優先的にヤクザ社会に捧げなければならない」と記す。
この「世界で最も中央集権化された組織運営」が、
群を抜いた収益を上げる鍵だとしている。

山口組の分裂は、この中央集権化されたピラミッドの一角が崩れることを意味する。
警察や政府が抗争の一般市民への影響を懸念すると同時に、
組織弱体化の千載一遇のチャンスと見るのはそのためだ。
組側もそれを十分に認識していると見える。
山口組は1980年代にも分裂の危機を迎え、30人以上の死者を出す抗争に発展した。
その際には組員を呼び戻すために高額の“退職金”を用意するなどの“年金プラン”を導入し、
組員の離反を防いだという(『Daily Beast』)。
今回も何らかの懐柔策が取られるかもしれない。

ただし、対立の根はもっと根深い所にあるようだ。
『Daily Beast』は、国内メディアがあまり触れない、
ヤクザの出自に関する“タブー”に触れている。
同メディアは、日本のヤクザの多くは、
帰化した韓国・朝鮮系(または在日韓国・朝鮮人)と、
かつての被差別部落出身者だと指摘する。
そして、「山口組(山健組・関西派)には被差別部落出身のメンバーが多く、
『弘道会』は韓国(・朝鮮)系の割合が高い。
これが2つの派閥の緊張を作り出している」と記している。

 




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