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…ホロコースト否定司教の破門解除で

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ローマ法王への非難高まる、ホロコースト否定司教の破門解除で

    2009年02月05日 03:49 発信地:ベルリン/ドイツ

【2月5日 AFP】ヨーゼフ・ラッツィンガー(Joseph Ratzinger)枢機卿が2005年にローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)に就任した際、同法王の地元ドイツは国をあげての歓迎ムード一色だった。だが、法王がナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の存在を否定する発言をした司教らを復権させたことで、一転国民は面目をつぶされた格好となった。

 問題となっているのは、英国のリチャード・ウィリアムソン(Richard Williamson)司教。同司教はスウェーデンのテレビ番組で、ユダヤ人を虐殺するために使われたとされるガス室は存在しなかったと発言していた。

 ドイツで最大部数を誇るビルト(Bild)紙は3日、社説で「法王は重大な間違いを犯した。何よりも、法王がドイツ人だということが問題だ」と指摘し、「ベネディクト16世は、世界におけるドイツのイメージを著しく損ねている。600万人のユダヤ人を殺害したことを否定する発言をした人間は、ドイツでは訴追される」と強調した。 

 ローマ法王が同司教の破門を解除したのは、ナチス・ドイツのアウシュビッツ(Auschwitz)強制収容所解放64周年記念日のわずか数日前のことだった。

 ドイツ国民の多くにとってベネディクト16世のローマ法王就任は、ドイツが行ってきた、暗い過去を償い、国際社会への完全な復帰を果たすための60年間にわたる取り組みの1つの頂点だったといえる。だが、ベネディクト16世は法王就任以来、イスラム教徒や女性、ネイティブ・インディアン、ポーランド人、同性愛者、さらには科学者について、不用意な問題発言をくりかえして怒りを買った。そして今回のウィリアムソン司教の破門解除は、ドイツでは特に問題視されている。

 ドイツ国内での反ユダヤ的暴力事件の高まりにたびたび懸念を示してきたドイツ・ユダヤ人中央評議会(Central Council of Jews)は、法王の今回の行動は危険な前例になると指摘。同団体幹部は独週刊誌シュピーゲル(Spiegel)とのインタビューで、「極右活動家らはこれから、ローマ法王がホロコースト否定論者の司教の復権を許したぞ、と言うだろう。法王が行ったことは、ホロコースト否定論者を社会的に容認し、間違ったメッセージを送ることになった。許し難いことだ」と語った。

 この問題について、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は3日、各国の国家指導者としては初めて、法王の批判を行った。メルケル首相は法王の行動は看過することはできないとし、バチカン当局に対し、ナチス・ドイツのホロコーストが「否定できない事実だと明確にすること」を求めた。
(c)AFP/Arnaud Bouvier

http://www.afpbb.com/article/life-culture/religion/2568163/3735743
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