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胎児が母親の免疫システムに拒絶されない理由を解明


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胎児が母親の免疫システムに拒絶されない理由を解明(2012.6.25掲載)

妊娠女性の免疫システムが、成長する胎児を攻撃しないメカニズムが明らかになった。異物に対しては、通常、免疫細胞が活性化されこれを拒絶し排除しようとするが、子宮壁へ受精胚が着床した場合には、この免疫細胞の能力に影響を及ぼすプロセスが誘発され、主要な免疫システムの経路(pathway)が遮断されるため、免疫細胞は胎児に害を与えないようになるという。このプロセスがなければ、早期分娩や流産、子癇(かん)前症などをもたらすことになる。

通常、免疫システムは、臓器移植後にみられる典型的な組織拒絶反応のように、免疫細胞の攻撃を誘発するケモカインを産生するが、妊娠中は女性の免疫細胞が胎児や胎盤の異種抗原に接触しても拒絶反応は起こらない。米科学誌「Science(サイエンス)」に掲載された今回の研究は、この根本的な理由の解明に取り組んだもの。

米ニューヨーク大学ランゴンLangoneメディカルセンター病理学准教授のAdrian Erlebacher氏らは、胎児および胎盤と関連する脱落膜(decidua: 分娩後に脱落する妊娠により変化した子宮粘膜)について検討した。その結果、女性が妊娠すると免疫細胞を召集する遺伝子が脱落膜内で不活性化され、胎児が保護されることが判明した。同氏らによれば、“後成的変化(epigenetic change)”つまり遺伝性でない変化が、ケモカイン遺伝子を不活性化する脱落膜の細胞内のDNAで生じ、それにより受精胚着床部位での通常の免疫システムの反応が不活性化するという。

Erlebacher氏は「通常、T細胞を炎症部位に導く化学誘因物質を分泌する細胞が、妊娠した子宮ではその働きをしないことが判明した。脱落膜は免疫学的不活性に関与する領域(a zone of relative immunological inactivity)とみられる。妊娠中に胎児が拒絶されない理由を十分に説明できることから非常に興味深い知見である」と述べている。同氏らは「この知見は自己免疫疾患や臓器移植、癌(がん)にも重要となりうる」としている。(HealthDay News 6月14日)

http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=665616
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Health Day
http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&view=article&id=3831:2012625&catid=21&Itemid=104
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