名前を消した男 10
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/04/18 02:04:33
僕は何故かヒトの居るところに戻りたかった
本能が群れることを要求したのかもしれない
やっとの思いで駐車場に戻った僕は、誰か居ないか辺りを見回した
しかし、さっきまで止めてあった京都ナンバーの車も消えていた
駐車場には僕しか居ない
僕は荷物を駐車場に残し展望台へと走った
津波の様子をみるためだ
展望台...
僕は何故かヒトの居るところに戻りたかった
本能が群れることを要求したのかもしれない
やっとの思いで駐車場に戻った僕は、誰か居ないか辺りを見回した
しかし、さっきまで止めてあった京都ナンバーの車も消えていた
駐車場には僕しか居ない
僕は荷物を駐車場に残し展望台へと走った
津波の様子をみるためだ
展望台...
鵜の巣断崖の駐車上から真木沢海岸まで下りる道は普通の山道に近かった
枯葉に覆われた狭い地道には階段もなかった
道はしばらくは平坦であった
突然、僕の前の道が滑り台の様に見えた
『えぇ、ここを下りるのか』
僕がそう思ったときだ
鳥の騒がしい鳴き声がした
遠くのほうで地響きが聞こえ体が左右に揺れだし、木...
僕は今日の偽装自殺計画を断念することにした
誰にも見つからずに荷物だけを残して足取りを消すには準備不足だと思ったからだ
僕は地理の下見をかねて宿に徒歩で帰ることにした
宿に帰るには三陸鉄道北リアス線を利用するしかない
近くの駅は島越(しまのこし)駅
駅に行くには海沿いの陸中海岸自然遊歩道を利用するか...
僕は消える機会が訪れるのを待っていた
三月になっても東北では真冬なみの寒さだ
空は曇り低く海はどこか冬の日本海を連想させた
僕は鵜の巣断崖の展望台と駐車場の間を何度も行き来した
駐車場の車がなくなるのを待っていたのだ
誰にも気づかれないよう荷物だけを残して消えるために人が居なくなるのを待っていた
駐...