名前を消した男 23
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/05/05 22:34:57
県道44号線に戻った僕は田野畑村に続くトンネルに入った
トンネルの出口が向こうに見えていた
重い足を引きずるように歩いた
『これが成功すれば僕は津波によって死んだことになる。そして僕の名前がこの世から消え僕も消えることができる』
僕は心でそう思った
僕は疲れていた
僕をいま動かしてるのは憎しみだけだ...
県道44号線に戻った僕は田野畑村に続くトンネルに入った
トンネルの出口が向こうに見えていた
重い足を引きずるように歩いた
『これが成功すれば僕は津波によって死んだことになる。そして僕の名前がこの世から消え僕も消えることができる』
僕は心でそう思った
僕は疲れていた
僕をいま動かしてるのは憎しみだけだ...
武者の格好をした化けもどき
バナナを無理やり食べさせる
白色のライトの光が照らしだしていたものはすべて残骸だった
僕はあちらこちらとライトで照らす所を変えその後を視線で追った
その時一瞬目に止まったものがあった
『人間の形をした残骸』
僕はライトを動かすのを止めそこを照らし続けた
その光の中にあったものは波に浮かぶ人間だった
ぴくっとも動かずただ寄せては...
『もうすぐ夜が明ける』
僕の頭には明るくなった時の光景が浮かんでいた
『この小さな漁港の人達はどこに消えたのだろう』
僕は誰も人の居ない駅前広場らしい場所でそんなことを考え始めていた
広場には有名な小説家の名前が入った碑があった
碑には流された今はゴミの布団が引っかていた
漁港の人達は毎日この前を気...
僕は嘘の世界だと思った
鉄道の高架橋は少しを残し後はすべて消えていた
その闇に突き出した道は、途中で暗闇に落ちる死への飛び込み口に変わっていたのだ
先には黒く向こうのトンネルの入り口がその口を開けている
僕は体の力がしだいに抜けていくのを感じ、立っているのが辛くなりその場に座り込んでしまった
『どう...