ジョーカーの冬の国より~その5
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/06/18 01:46:46
時間帯が次の夕方になってから、アリスはハートの城をお暇した。この世界では、昼の次に夕方が来るとは限らない。朝も昼も夕も夜も、順番は滅茶苦茶だ。同じ時間帯がずっと続くこともある。
「あら? 今の……」
さっきは双子と会ったところで、数メートル引き返す。
並木の合...
情熱$袋だったらいいのに……
時間帯が次の夕方になってから、アリスはハートの城をお暇した。この世界では、昼の次に夕方が来るとは限らない。朝も昼も夕も夜も、順番は滅茶苦茶だ。同じ時間帯がずっと続くこともある。
「あら? 今の……」
さっきは双子と会ったところで、数メートル引き返す。
並木の合...
ビバルディの一言が第一の側近を突き放す。
「ホワイト、お前は仕事に戻らぬか」
「そうよ。宰相が仕事をしなくてどうするの?」
アリスも女王に同意してみる。しかし、しぶといウサギはどうあってもこの場に留まりたいらしい。
「なら、僕がアリスとお茶にして、陛下が僕の分の仕事をしてくれればいいんで...
やがて穏やかな風が花の香りを運んできた。鮮やかなピンク色が視界のあちこちでざわめいて、花びらを散らす。桜の木だ。
ハートの城の領地は「春」となっている。「冬」からやってきたアリスには、とても暖かい気候に感じられた。
「気持ちいいわね。桜も綺麗だし」
城下町はいつにも増して賑やかだ。アリス...
クローバーの塔の領土を抜けると、白い雪は見られなくなり、あからさまに空気の質も変わる。アリスは羽織っていたコートを、手持ちのバッグに移して、空を仰いだ。
気持ちよく晴れた青空だ。並木道の途中で深呼吸をして、肺の中に残っている冷たい空気を追い出す。
「あ! お姉さんだ!」
道のない方向から...
ずっと昔ブログで公開してたSSでも載せますか。お題が小説だし。
クインロゼ『ジョーカーの国のアリス』の二次創作ですよ。
積雪の真っ白な寒さも、ここでは暖炉の橙色に溶かされていく。真冬となったクローバーの塔の中でも、アリスがもっとも温かく感じる、憩いの場所だ。
部屋の主である長髪の...