Nicotto Town


情熱$ブログ


情熱$袋だったらいいのに……

ジョーカーの冬の国より~その5

 時間帯が次の夕方になってから、アリスはハートの城をお暇した。この世界では、昼の次に夕方が来るとは限らない。朝も昼も夕も夜も、順番は滅茶苦茶だ。同じ時間帯がずっと続くこともある。

「あら? 今の……」

 さっきは双子と会ったところで、数メートル引き返す。

 並木の合...

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ジョーカーの冬の国より~その4

 ビバルディの一言が第一の側近を突き放す。

「ホワイト、お前は仕事に戻らぬか」

「そうよ。宰相が仕事をしなくてどうするの?」

 アリスも女王に同意してみる。しかし、しぶといウサギはどうあってもこの場に留まりたいらしい。

「なら、僕がアリスとお茶にして、陛下が僕の分の仕事をしてくれればいいんで...

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ジョーカーの冬の国より~その3

 やがて穏やかな風が花の香りを運んできた。鮮やかなピンク色が視界のあちこちでざわめいて、花びらを散らす。桜の木だ。

 ハートの城の領地は「春」となっている。「冬」からやってきたアリスには、とても暖かい気候に感じられた。

「気持ちいいわね。桜も綺麗だし」

 城下町はいつにも増して賑やかだ。アリス...

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ジョーカーの冬の国より~その2

 クローバーの塔の領土を抜けると、白い雪は見られなくなり、あからさまに空気の質も変わる。アリスは羽織っていたコートを、手持ちのバッグに移して、空を仰いだ。

 気持ちよく晴れた青空だ。並木道の途中で深呼吸をして、肺の中に残っている冷たい空気を追い出す。

「あ! お姉さんだ!」

 道のない方向から...

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ジョーカーの冬の国より~その1

 ずっと昔ブログで公開してたSSでも載せますか。お題が小説だし。

 クインロゼ『ジョーカーの国のアリス』の二次創作ですよ。




 積雪の真っ白な寒さも、ここでは暖炉の橙色に溶かされていく。真冬となったクローバーの塔の中でも、アリスがもっとも温かく感じる、憩いの場所だ。

 部屋の主である長髪の...

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