妹が人からもらった、デコレーションキットがあった。
プリンの模型に、付属の樹脂製クリームを絞り、そこへバナナやイチゴの模型や、ラメをのっけてストラップにしましょう、ってやつ。
しかし妹は細かい事が苦手なので、もらったはいいものの、やらずに放置していた。
そこで俺がもらいうけ、作ってみることにし...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
妹が人からもらった、デコレーションキットがあった。
プリンの模型に、付属の樹脂製クリームを絞り、そこへバナナやイチゴの模型や、ラメをのっけてストラップにしましょう、ってやつ。
しかし妹は細かい事が苦手なので、もらったはいいものの、やらずに放置していた。
そこで俺がもらいうけ、作ってみることにし...
【恐れを勇気に】
「今までのクエストでも、そりゃあびびったことはありました。けど、ミランダさんの話はとても他人ごとに思えなかったんだ。……だって」
グロムはうつむき、ぐっとカウンターの上に置いた両手を握った。それでも、涙が勝手に目から溢れてきてしまった。
「&hell...
【再会】
グロムが通りに飛び出した時は、すでに日は西に傾きかけていた。しかし、街はいっこうに静まる気配を見せず、むしろ、より賑やかになっていくようだ。
雑多な人や荷車の流れにはなかなか慣れない。田舎育ちのグロムは、たちまち目が回りそうになる。
「……まったく、やって...
【ここに来た理由】
「んだよ、そりゃあ……」
教官の話が終わった後も、グロムは不平面を隠せないでいた。
「俺達もずいぶん買いかぶられたもんだぜ。それで、もし俺達に何かあったらどうしてくれるんだよ」
「お兄ちゃん、それは言い過ぎだよ。支部長さんは、わたし達ならこのクエス...
春先のことだ。
犬を大きな公園に遊ばせに行ったら、駐車場に母子の乗るワンボックスカーがやってきた。
まだ30代とおぼしき母親は、車を止めると、助手席から降りた七歳くらいの女の子に向かって言った。
「じゃあね」
すごくぞんざいな言い方だった。子供は、黙って車の後部から自分の自転車を下ろすと、おと...