モンスターハンター 勇気の証明~五章 34
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/10/31 15:12:22
【そしてまた、前へ】
「ユッカ~、もう元気だせよ……」
背を丸めてふさぎこむ妹に、グロムは困り果てていた。
街を出てからずっと、ユッカは元気がない。村に戻っても、こうして思いつめたように溜息ばかりついている。両親も心配し、ミーラル達も同様だ。
ここは兄として相談に...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
【そしてまた、前へ】
「ユッカ~、もう元気だせよ……」
背を丸めてふさぎこむ妹に、グロムは困り果てていた。
街を出てからずっと、ユッカは元気がない。村に戻っても、こうして思いつめたように溜息ばかりついている。両親も心配し、ミーラル達も同様だ。
ここは兄として相談に...
【英雄は語らない】
ユ~クモ~よいとこ~、一度はおいでェェ~。
はらはらとモミジが舞い散る露天風呂。空は高く澄み切って、山の清涼な空気が、ほてった肌を優しくなでていく。
眼下には絶景。ユクモ山岳は今が紅葉の盛りとあって、まるで錦絵のような美しさだ。
朝から風呂を独占し、ご機嫌なだみ声をと...
【決着】
「ランマルはん、ウチらこのまま手ぇこまぬいててええんやろか?」
「ギルドの規則では、船員アイルーは狩りに手を出すべからず、と言われているけどニャ……」
訴えるように見つめるコハルに、ランマルは不敵に笑いかけた。
「そんなの、緊急事態には意味ないニャ。死んだら...
【起死回生】
巨体に見合わぬ小さな前足で、ジエン・モーランはゆっくりと地面を這い、前へ、前へと進んでいた。小さいといっても、人間には巨木のような前足である。一歩がとにかく大きく、まるで小さな山が移動しているようだ。
「奴の弱点は前足だ! 堅殻(けんかく)が剥がれるまで叩け!」
教官が怒鳴り、腰...
【砂上の決戦】 時間は、ゆっくりと流れている。
あれから一日経ったのはわかっている。でも、誰もそのことを口にはしない。皆、疲れた面持ちで砂の上や甲板に座り、マントに顔を埋めて、いずれ来る戦いをひたすら待っていた。 ロックラックの街から数キロ離れた所に、砂止まりと呼ばれる、流砂がない場所がある。
...