自作5月/(切り札)女神の恋人
- カテゴリ: 自作小説
- 2014/05/28 18:48:50
天を突くかとみまがう石の城壁の外側に、天幕がおびただしく並んでいる。 なだらかな丘陵にすし詰めに張られ、あたかも白波のよう。 その波は、いまにも打ち寄せ城壁に迫らんばかり。「四方を囲まれたか」 革鎧の兵士は、城壁の内側、見張りの塔から天幕の海を眺めるや。螺旋の石段を降り、石畳の狭い道をすり抜け、...
天を突くかとみまがう石の城壁の外側に、天幕がおびただしく並んでいる。 なだらかな丘陵にすし詰めに張られ、あたかも白波のよう。 その波は、いまにも打ち寄せ城壁に迫らんばかり。「四方を囲まれたか」 革鎧の兵士は、城壁の内側、見張りの塔から天幕の海を眺めるや。螺旋の石段を降り、石畳の狭い道をすり抜け、...
トルさん、トルさん、ちょっとそのホルスタインな毛並みがくすんできてやしませんか?
「え~?そーかな~?」
完全室内飼いの猫とて、ベッドの下に入ってばっかりじゃあ埃だらけになりますがな。 ちいと、こっちおいでーな。(くいくいまねき猫
「ほ~い♪」
のんびりトルさんは無邪気です。 とことこやってき...
光あれ。 確かこの世界の始まりの言葉は、そんなだったと思う。 本当かな。 でもたぶん、この世界の終わりの言葉は、耳にしたと思う。 それは、たった今のこと。 『光よ、去れ』 ぶ厚いアクリルの船窓におでこを押しつけて、蒼い蒼いきれいな星を眺めて...