Nicotto Town



アスパシオンの弟子⑲ 鳥の王(後編)

 大きな翼をはばたかせ。すらりとした白い首を持つ巨大な鳥は、ものすごい速さで岩山をぐんぐん飛び越えていきます。  次第に青空がほんのり色づいてきます。太陽が傾いているのです。  あれ……? 左手の方に沈んでいる? 「ちょっと兄弟子様、北五州は南東です! なんで北に向かっ...

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アスパシオンの弟子⑲ 鳥の王(前編)

 最長老様の死を悟った兄弟子様の顔に、僕は一瞬恐怖を覚えました。  笑っているのです。まるで気が狂ったかのように。悪魔のように。 「最長老が天寿を全うすることは、まずない」  推測だが、と断りを入れて。兄弟子様は、歴代の最長老はみな殺されていると仰いました。 「しかしレクサリオンは、天罰をくらったな...

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アスパシオンの弟子⑱世捨て人(後編)

「ひと仕事終えたあとの酒はうまいっ」 髭ぼうぼうの人は、空気袋に仕込んだお酒をがぶがぶ飲み。ぷはーと息を吐きました。見れば顔はみるみる真っ赤。 すっかりできあがった人は、とても上機嫌にいろんな話をしてくれました。 お酒の造り方とか。服の編み方とか。 それから、「おおそうだ」と、目を輝かせて。ぽんと手...

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アスパシオンの弟子⑱ 世捨て人(前編)

 ぼろぼろの黒衣を着たその人は、僕を連れて鍾乳洞の奥へ奥へと進んでいきました。  寺院の地下に広がる鍾乳洞は、なんと広大なのでしょう。僕が少し前に罰を受けてさまよった草地や滝のある所とは、全く別の方面に向かっているようです。  周囲の様子に目を見張りながら、僕はついていきました。大きな水...

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アスパシオンの弟子⑰ 蒼の陰謀  後編

 そのまっ白い巨大な鷹は、最長老様の顔めがけていきなり突っ込んできました。  寺院の長は目をくわっと開き、すかさず防御の結界を唱えたものの。相手のあまりの素早さに、その韻律の声は、途中で途切れてしまいました。  最長老様は床に押し倒されながら、するどいくちばしで目を突かれ。頭をしたたかに打ちつけら...

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