アスパシオンの弟子36 薔薇乙女一座(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/03/12 01:09:25
「大丈夫、こやつはあの娘の味方じゃ」 赤毛の女の言葉にみるみる蒼ざめる僕の前に、あのコマ使いの老婆がよろけながらやってきました。 僕が吹き飛ばした老婆は、まだ生きていました。玉飾りの帽子を失くしていて頭から血を流していましたが、傷は軽傷。お婆の鶴のひと声で、みなはようやくのこと、僕が怪しい者では...
「大丈夫、こやつはあの娘の味方じゃ」 赤毛の女の言葉にみるみる蒼ざめる僕の前に、あのコマ使いの老婆がよろけながらやってきました。 僕が吹き飛ばした老婆は、まだ生きていました。玉飾りの帽子を失くしていて頭から血を流していましたが、傷は軽傷。お婆の鶴のひと声で、みなはようやくのこと、僕が怪しい者では...
どこ? フィリアはどこにいる? 押し入った建物の中は暗く、目の前にあるのは奥まで続く長い廊下。 両脇にアーチ型の扉が向かい合う壁があり、灯りのついている奥間には幾人もの人影。 奥は広間のようになっているようで、濃い桃色の照明に照らされ、空気が赤く見えます。 その中にかなりたくさんの...
何が起こったのか、一瞬わかりませんでした。 僕の視界に映ったのは、手のひらの上のコマを高く掲げ上げる老婆の姿。 ずしゃりと彼女の足元に落とされた僕の鼻先に、そのコマがつきつけられました。 しわくちゃの手の中でそれは金色にぐるぐる回転しています。信じられないことに、少しだけ宙に浮いて。...
「待って!」 運搬車の荷を置いて、鉄兜の少女はフィリアを連れて一体どこへ?心配して振り返ると、荷台には同じような鉄兜を被った男たちがたくさん群がって、えっほえっほと物資を下ろしています。 どうやら少女と同じ組織の者たちのようです。 運転士はどこに行ったのかと聞いてみたものの、男たちは邪魔だ...