アスパシオンの弟子42 神獣 (後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/04/24 20:49:16
今から数千年前。人間が様々な超技術の兵器を駆使していたころ。 とても小さな王国で、とある灰色の衣の導師が世にも恐ろしいものを世に生み出しました。 神獣レイズライト。それは大鳥グライアに鋼の心臓を組み込んだ、半有機体の巨鳥でした。 レイズライトを戦に使ったその王国は、いとも簡単に何万という...
今から数千年前。人間が様々な超技術の兵器を駆使していたころ。 とても小さな王国で、とある灰色の衣の導師が世にも恐ろしいものを世に生み出しました。 神獣レイズライト。それは大鳥グライアに鋼の心臓を組み込んだ、半有機体の巨鳥でした。 レイズライトを戦に使ったその王国は、いとも簡単に何万という...
我が師が風送り隊の二人からとりあげた小さな水晶玉。 そこにはまごうことなく、岩窟の寺院のヒアキントス様の部屋が映っていました。 我が師はまるでオモチャのビー玉を眺める少年のようにキラキラ目を輝かせ、興奮しました。 「うわぁ、初めて見たけどほんと真っ青なんだな! これ、後見してる蒼鹿家の...
繭から出されたその子は、急ぎ王宮の客室に運ばれました。 繭は切られましたが、幸いなことに中の子にはほとんど傷が及んでいませんでした。 呼吸ができていないようだったので、灰色の導師が背中を何度か叩いて促すと。 その子はけふっと黒い塊を口から吐き出し、すうすうと寝息のような呼吸音をたてました。 ...
メニスの繭が誰かに割られた? 結界を張っていたのに?「そんなこと、ありえない!」 思わず叫んだ僕でしたが。セバスちゃんによると、僕の風送り隊二人は侵入者に韻律で攻撃され、命からがら温室の前で狼煙のような非常用の信号弾を打ち上げたそうです。 「繭に駆けつける兵士たちの気配を察して、敵は逃...
トルナート陛下が連日がむしゃらに働く理由を知り、僕の胸はひどく痛みました。 想像を絶する哀しみと過酷な経験。陛下がご自分のことを朕ではなく僕と称する理由が、なんとなく解るような気がしました。 「桃を見ると思い出す。サクラコさんと初めて会った時のことを。かぐわしい桃がたくさん植わってる、とあ...