Nicotto Town



アスパシオンの弟子46 望郷(前編)

 思いがけない宝物を得た僕らは一路、トルナート陛下がおわす王宮を目指しました。  とはいえ、緑虹のガルジューナは永い間鉱山で眠っていたので、新しい王宮の場所を知りませんでした。  勢いよく飛び出し地の大動脈に出たものの、突然ひたと止まり、 『どこの番地だ?』  と聞いてきたので、僕らは一所懸命今の...

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アスパシオンの弟子45 王墓(後編)

「宝石?」  うんとうなずく我が師の顔がぽうと灯り球に映しだされました。 「エティアの王は、即位する時に代々伝わる黄金の杓丈を継承する。だから王名に『黄金の杖持つ牧者』っていう称号が必ずつけられる。それと同じようにこの樹海王朝の王たちも、王位の象徴として代々継承してたもんがあったのかもな」 「...

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アスパシオンの弟子45 王墓(前編)

 一面真っ赤な鉱物に囲まれた空間。  そこに横たわる太い筒のような長い巨体。  『赤の広間。美しい我の寝床』  巨体の主、緑虹のガルジューナがとても懐かしげに囁きました。 『我はここでしばし休む。さあ、地図をとってこい』  振り向けば。僕らが出てきた小部屋の入り口に、半透明の緑の膜のような...

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アスパシオンの弟子44 恋慕(後編)

『断る! おまえたちがその悪党ではない確証がどこに……!』   蛇は当然の反応をしましたが。ホッとすることに―― 「仕方ないなぁ。俺の弟子はほんと、優しいんだから」 僕の言葉で、我が師の顔からたちまち残酷な笑みが消え失せました。 「じゃあ弟子、ガルジューナさんはあ...

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アスパシオンの弟子 44 恋慕(前編)

 炎を吐く生き物というと、竜をまっさきに思い出します。  竜はこの大陸にかつて本当にいた生き物らしいのですが、今は影も形もありません。  寺院の図書館で見た絵本には、竜がカッと口を開けて炎を吐いてる絵があったなぁ……と、 のんびり想起する僕と我が師の周囲は――今、燃...

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