アスパシオンの弟子47 幕間 白の契約(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/05/31 11:27:22
私が再び「その方」にお会いしたのは、我が師の葬儀の時でした。 私は必死に師を呪いからお守りしたのですが、病魔を追い払うことはできなかったのです。 岩の舞台で導師たちとともに弔歌を歌い終わり、岩の階段を降りた時。 私の視界に壁画の踊り場が映りました。 そこには――銀の髪の「その方」...
私が再び「その方」にお会いしたのは、我が師の葬儀の時でした。 私は必死に師を呪いからお守りしたのですが、病魔を追い払うことはできなかったのです。 岩の舞台で導師たちとともに弔歌を歌い終わり、岩の階段を降りた時。 私の視界に壁画の踊り場が映りました。 そこには――銀の髪の「その方」...
私は目を見開いたまま固まっている我が師を引っ張り、なんとか小食堂へお運びしました。 「お師さま、神獣戦争なんてもう何千年も過去のことです。神獣などすでに使われない時代なのですから、あのようなものは、本当にただの遊びで……ああお師さま、しっかりなさって下さい」 氷結...
(今回はヒアキントス視点のお話です)
蒼く澄んだ湖上。 透き通った湖水の上を、一艘の小舟が進みゆく。 船頭はいない。 白い衣の男がひとり、船の上に立つ。 燦然と輝く杖を掲げながら。
「あ……」 その日。岩窟の寺院の岩舞台へ至る階段の踊り場に、...
正直。びっくりでした。 まさかトルナート陛下が、僕に王の証を半分渡してくるなんて。 躊躇する僕の手に、陛下は赤い義眼をぐっと押し付けてきました。『これは本当は、これを見つけた君ら師弟のものだ』、と。 固辞する僕に彼はきっぱりいいました。『だめ。これは命令だよ。受け取って。そしてアスパシオン様はこの...
「アスワド、君たちの話は後で聞く。今はみんなを落ち着かせるね」 陛下は門の二階部分の、バルコニーになっている処へ駆け上がりました。 妃殿下が後に続こうとしましたが、陛下は目配せをして階段のところで止めました。 少年王がたった一人で押し寄せた人々と向かい合うと。人々は一斉に口を閉じ、後ろの者に静...