アスパシオンの弟子48 白昼夢(前編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/06/07 01:57:57
「きゃー! あははははは」 とてもかわいらしい子どもの声が王宮の庭に響いています。 太陽の光がはじけるような快活で明るい笑い声。 「フィリアー! フィリアー!」 「こっちよ、ヴィオ。がんばって、ほら」 まだ歩くのもおぼつかなげな感じの包帯だらけの物体が、両腕をさしのべるメニスの少女のもとへよた...
「きゃー! あははははは」 とてもかわいらしい子どもの声が王宮の庭に響いています。 太陽の光がはじけるような快活で明るい笑い声。 「フィリアー! フィリアー!」 「こっちよ、ヴィオ。がんばって、ほら」 まだ歩くのもおぼつかなげな感じの包帯だらけの物体が、両腕をさしのべるメニスの少女のもとへよた...
私が再び「その方」にお会いしたのは、我が師の葬儀の時でした。 私は必死に師を呪いからお守りしたのですが、病魔を追い払うことはできなかったのです。 岩の舞台で導師たちとともに弔歌を歌い終わり、岩の階段を降りた時。 私の視界に壁画の踊り場が映りました。 そこには――銀の髪の「その方」...
私は目を見開いたまま固まっている我が師を引っ張り、なんとか小食堂へお運びしました。 「お師さま、神獣戦争なんてもう何千年も過去のことです。神獣などすでに使われない時代なのですから、あのようなものは、本当にただの遊びで……ああお師さま、しっかりなさって下さい」 氷結...
(今回はヒアキントス視点のお話です)
蒼く澄んだ湖上。 透き通った湖水の上を、一艘の小舟が進みゆく。 船頭はいない。 白い衣の男がひとり、船の上に立つ。 燦然と輝く杖を掲げながら。
「あ……」 その日。岩窟の寺院の岩舞台へ至る階段の踊り場に、...