アスパシオンの弟子 60 日記(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/08/31 00:27:50
7125年 炎の月8日 毎日毎日ふいごをふんでばっかり。 いつ金づちを持てるんだろう……。 *************************************
7126年 風の月 11日 僕とピピさまは、ちょっとの間だけひっこしをすることになりました...
7125年 炎の月8日 毎日毎日ふいごをふんでばっかり。 いつ金づちを持てるんだろう……。 *************************************
7126年 風の月 11日 僕とピピさまは、ちょっとの間だけひっこしをすることになりました...
今回は幕間、とある少年視点のお話です。******************************** 7124ねん 芽ぶく月 7日 きょう、社会見学で、王国でいちばん大きい工場を見学しました。 工場で働くゆうき人形をつくっているところです。ぎしの人が説明してくれました。 びんの中で、赤ちゃん...
「若」は食堂の広間は素通りし、中庭へと招待客を案内した。 そこには瀟洒な形の蒼金色の天幕がしつらえられており、中に置かれた絹張りの寝椅子にはすでに、煌びやかないでたちの客人たちがしどけなく寝そべっていた。どの面々の胸にも、きらめく宝石の頚飾り。裏オク家門下の中でも一、二を争う家柄の貴族たちなので...
藁をもすがる気持ちとはこのことであろう。 翌朝、青年はリュックに剣を突っ込んで、団長とお伴の騎士二人とともに王都へ出立した。 騎士たちは馬に乗っていたので、青年にも特別に馬が貸し与えられた。 大街道を南下し、街道沿いの旅籠に泊まること三夜。あと数刻で王都へ到達するという距離までやって来たころ...
「やあおはよう、食堂のおばちゃん代理。さっそくだが、王都へ昇るぞ」「はい?」 銀枝騎士団営舎の団長室で、敬礼する赤毛の青年はきょとんとした。 部屋には夏の乾風が吹き込んでいて、窓際のデスクに鎮座する騎士団長の頭頂のうすい産毛を、そよそよ撫で揺らしている。 「だから。半年前、王都に招待されただろうが...