アスパシオンの弟子59 チーム・八番島(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/08/23 22:08:40
イルカの修理をしていたら。あっという間に昼過ぎになってしまいました。――『ピピ五級技師。まだそちらの作業は終わらないですか?』 第一工房のサナダ師から催促がきたので、慌てて帰ってみれば。「水晶体が焼き上がったので、品質チェックと研磨をお願いします。私はこちらを仕上げてしまいますので」「了解です」 ...
イルカの修理をしていたら。あっという間に昼過ぎになってしまいました。――『ピピ五級技師。まだそちらの作業は終わらないですか?』 第一工房のサナダ師から催促がきたので、慌てて帰ってみれば。「水晶体が焼き上がったので、品質チェックと研磨をお願いします。私はこちらを仕上げてしまいますので」「了解です」 ...
大昔の八番島は、居住環境的には良い所でした。 人口温泉に果樹園。美しい庭園に、なんと職員用の娯楽施設もあるのです。 が。 「せっかく卓球場あってもなぁ」 手取り月二十万ディール、起床五時、就寝十時で夜更かし禁止。日替わり定食風食堂での三食の食事時間は一時間ずつ、午後休憩ありの完全週休二日。とい...
噴煙の寺院の導師たちは、ほとんどがずんぐりむっくりのおじさんたちです。この辺りの主食である木の実は大変カロリーが高いので、どうしてもみんな太り気味になってしまうようです。 修行のかたわら食料を採集したり、温泉街から物品を買い求めてくるのは、緑の衣の見習いの仕事。僕は他の緑の衣の弟子達と一緒に、...
キン キン キン キン 打つ 打つ 玉はがね キン キン キン キン 打つ 打つ 金の床 聞こえてくるは、蒸気の音 天立ち昇る、白き怒張 負けじと金槌打ち鳴らせ はがねの聖地の名のもとに
「角度がちがーう!」 すぱーん、と僕はハリセンで頭をはたかれました。 ハリセンを...
暗い顔でてっぺんの部屋に地図帳と本を返しにいくと。 「おじいちゃん」はまだひよこと格闘していました。首を捻り、ため息をついて頭をぶるぶる。 「わかんねえ。なんでズレるんだろ。歯車の削りはみんな完璧だしなぁ」 そっと本を本棚に押し込んだにもかかわらず、どそどそと本がなだれてきたので、僕はあ...