Nicotto Town


✪マークは作り話でし


✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし

木馬

熱帯夜が続く、わたしの眠りも浅い。
・・・カフェを出ると小雨が降りだした。
濡れながら歩いてゆくと、
行く手に巨大な傘が開いている。
何事かと近づいてみれば「回転木馬」の屋根であった。
見ると、当の木馬は一台きり。
ただ一頭が延々と回り続けている。
小雨ごしに、それはひどく哀しげ見えた。
その横手に...

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✪ 黄泉幻燈機

今はもうないものと、再会するための機械。西方に浮かび上がるは、失われた時間の幻燈劇。映画を見るように「時間」を見ることができないでしょうか ? 、もちろん「時間」そのものは目には見えません。しかし「時間」が経過したものを見ることは可能です。例えば建築物です。私たちは古い建築物を見上げるとき同時にその...

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海ホテル

まだ眠りについてる砂の稜線に、
なかば埋もれた石の露台が見えている。
白い日よけのはためく窓は、
鳥の巣のように並んでいる。
私は昼顔の蔓をたどって引き潮道をわたり、
対岸の海ホテルへ向かう。
汐騒のあいまに、
遠く硝子の皿に匙をおく音が聞こえた。
グラスの冷たい水は、
瞬く間に昼下がりの熱気を吸う...

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麦わら帽子

暑い午后、日ざしは真上からふりそそぐ。
アスファルトには陽炎がたちのぼり、白く乾いている。
冷蔵庫の飲料水が底をつき買い出しに、
外に出ると暑さで汗が流れだした。
私は部屋に戻り帽子に手をかけた、
それは父のお気に入りだった麦わら帽子。
当時としてはそんな帽子はいくらでも同じものがあったが、
父の帽...

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続 小さな音楽

わたしは、
この世のあらゆることは、
すべて「部分」というか・・・「かけら」なんだと思っています。
誰も本当の「全体」なんて知らないのでは・・・そう思うんです。
ああ・・・また・・・不思議ちゃんを語っちゃってます。
小さな音を聴こうとするとき、
人は誰もが少しだけ優しく謙虚な姿勢になるのではないでし...

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