アスパシオンの弟子64 赤猫(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/09/27 08:15:34
樹海王国の摂政職を退いて塔に篭ったソートくんは、マッドサイエンティストぶりにさらに磨きをかけていた。 メキド王室の「影のご意見番」をしながら、ふだんは工房に篭り、もっぱら魔道武器を作る日々。 剣だの槍だの杖だのをトテカンやって成形し、ルファの義眼と同じ宝玉を嵌め込んで、超常的な能力を発揮する武...
樹海王国の摂政職を退いて塔に篭ったソートくんは、マッドサイエンティストぶりにさらに磨きをかけていた。 メキド王室の「影のご意見番」をしながら、ふだんは工房に篭り、もっぱら魔道武器を作る日々。 剣だの槍だの杖だのをトテカンやって成形し、ルファの義眼と同じ宝玉を嵌め込んで、超常的な能力を発揮する武...
師に捧げる歴史書第七巻新王国の章―― 『新メキド王国は神聖暦7170年に建国されました。 樹海王朝にて代々宰相を務めたプトリ家が新王家となり、国名が一新されました。メキドとはこの国の民の古い言葉で、ターバンをつける民、という意味です。 プトリ家は樹海王朝最後の王シュラミナスの叔母にあたるレティ...
大事な冬支度を奪われては困る。青年は黄金色の牙王めがけて走った。 『照準器展開、目標捕捉します』 巨大な岩のふもとに到達すると、輝く円い赤紋が目前に広がる。 『光弾射出します。反動注意。中央点に私を振り下ろ……ろ……』 しかし突然、剣の声...
キノサの町は人口三千人ほどと小さい。しかし街道沿いにあるため、物流はそこそこ豊かだ。 近隣の村々から物が集められ、町の広場で売られている。 団長が市場の競りにかけた毛皮は飛ぶように売れた。じきにやってくる冬に向けて、防寒具を作って儲けたい商人たちがこぞって高値をつけてくれた。銀狐の毛皮はなんと銀...
うっそうと繁る暗い森の中。常緑樹の木々が連なる先で、かさりと何かが下草を揺らす。 『照準器展開』 無機質な声とともに、森の中にぶわりと浮かび上がる円形の文様。 折れた剣を構えた青年が、その光り輝く目盛りのような赤光紋を見据えている。 『ガイドラインが見えますか?』 「うん。でもちょっとま...