Nicotto Town



アスパシオンの弟子68 開戦(前編)

 アイテリオンがエティアに魔王を放って滅ぼそうとしている理由。  十中八九それは、エティアが北五州を属州としたからだろう。  メニスの里である水鏡の寺院は、北五州のほぼど真ん中の地中にある。つまり白の導師は、自分のナワバリに迫られたと感じたのだ。  もともとソートくんとの契約で渋々国家として認...

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アスパシオンの弟子67 覚醒(後編)

 当事者のベイヤート殿下は――自省の念を込めて、歌劇団の責任者とアズハルの肉親へ謝罪の手紙を送ってきた。 『御祖父上、私はアズハルを必ず探し出し、我が側室として宮に入れ、その子を認知する所存です。こたびの一件をどうかお許しください』  肉親への手紙にはそう書かれていたが、俺は子供が無事誕生している...

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アスパシオンの弟子67 覚醒(前編)

 我が師アスパシオンはマミヤさんが双子を産む八年前、すなわち7337年に生まれた。 白鷹家のビエール王国がエティアの傘下に入って十七年目のことだ。 王から大公に変わって二代目の当主は、スメルニア人の正妻の他に側室を数人娶っていた。しかし我が師の母親はその妾たちの子ですらなく、当主が気まぐれに手をつけ...

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アスパシオンの弟子66 運命の子(後編)

 夕方、俺と妖精はレンギ村をあとにして、ポチで少々東進した。 「さて、塔を呼ぶか」  地上への出口がある分岐点で止めて、右の義手につけた腕輪をいじる。  大昔の地下鉄の駅だったらしい遺跡から出て、深い森の中でしばし待っていると。山とみまがう大きな塊が、夕闇の中をずずずずとゆっくりゆっくりやってきた...

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アスパシオンの弟子66 運命の子(前編)

「とうちゃーく!」「機関停止っ」  ふしゅううう、と蒸気の息を吐いて、地下道を走るポチが停止した。  俺と妖精たちはこっそりザンギ市郊外に出て街道を歩き、小さな村に入った。  フードにすっぽり顔を隠した俺は、村の酒場へ直行。目的の人に会うのは、妖精たちだけだ。  樹液酒を頼んで席につき、窓辺から外を...

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