Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・84

 ロランは宿の庭木の近くに腰を下ろしていた。時折、鼻を鳴らす息遣いが聞こえる。
 ――泣いているのだ……。ランドを救えた喜びか、つらい役目をやり遂げた安堵のためか。
 ランドの胸が痛んだ。
 一度、死を覚悟して別れの言葉を言ったのだ。助かるなどとは思っていなかったから、ど...

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自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・83

 ベラヌールの宿の主人は慈善家でもあったので、ランドの宿泊料を特別に無料にしてくれた。薬師の老人はつきっきりでランドを看ていたが、することはほとんどなかった。
 ランドは食事も排泄もせず、こんこんと眠り続けていた。しかしそれは、回復へ向かう眠りではなく、確実に死へ向かう眠りだった。
(かわいそうに&...

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自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・82

 ロランの猛進撃は止まらない。
 何百という数を斬っても疲れを見せず、襲い来る魔物を無数の屍に変える。徐々に魔物の数が薄れ、とてつもなく巨大な樹の根元にロランが走り込むと、白い毛皮をした人間ほどの翼を持つ尾長猿が陣取っていた。バズズの配下のシルバーデビルだが、ロランはその名を知らない。
 ロランは無...

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自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・81

「え?……いや」
 ロランがきょとんとすると、ルナは小さく吹き出した。
「ひどいわね。私、一生懸命探したのに。……あのね、あなたとランド、衣装部屋のタンスに入って、一緒に寝てたのよ」
「えっ」
「気持ちよさそうにドレスか何かにくるまって、ぐーす...

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自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・80

【世界樹】

 船は東を目指して進んでいた。ロランは舵取りをカイルに任せ、舳先に立って水平線を見つめていた。
 ランドのいない船は静かだった。その場にいるだけで、ランドには場を和ませ、明るくする何かを持っていた。
 寂しい。ロランの胸を満たすのは、冷たく凍った海の氷にも似た閉塞感だった。
 ランドを...

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