Nicotto Town


ま、お茶でもどうぞ


日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。

自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・77

【邪神官の魔手】

 夜の航海は静かだ。波も穏やかで、船を揺りかごのようにゆったりと揺らしている。
 ロランは薄闇の中、隣のベッドで眠る友を見ていた。背を向けていて、ランドの寝顔はわからない。
 このままでいいのか、という気持ちがあった。おそらく体に病を抱えているだろうに、何もしないまま旅を続けてい...

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自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・76

 店内はこぎれいに片付いていて、壁際に見本が置いてあった。
 魔道士の杖、鉄兜は見慣れているが、竜の角の装飾が豪華な手甲に鋭い刃が付いたドラゴンキラー、青みがかった銀色が美しい魔法の鎧、そして金の縁の中心に、魔法の鎧と同じ金属が扱われた壮麗な円形の盾が目を引いた。
「それはミスリル銀っていう、魔法を...

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自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・75

 小さな村には宿屋ではなく、一軒だけ民宿があった。だが長く旅人が訪れないので、宿の主人は裏の畑で大根を抜いていた。
「すみません。一晩泊めていただきたいのですが……」
 ロランが声をかけると、主人は折り曲げていた腰を伸ばして驚いた顔をした。
「おお、お客さんかい。珍しいね...

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自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・74

 いきさつはともかく、食事当番の交代制は良い気分転換になった。最初はロランの番だった。海育ちのせいか、味つけは塩が中心だが、スープも焼き物も、素材の味を引き出していると二人に評判が良かった。刃物の扱いも慣れているので、切り方も鮮やかである。
 その次はランド。ランドの当番の時はいつもより時間が遅れた...

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自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・73

 ロラン達は長旅ですすけた顔で、山間に浮かぶ小さな村の入り口に立っていた。畑作と牧畜で自給自足している寒村に見えるが、ここに羽衣作りの職人が住まうという。
 ここまでの道のりの遠さがどっと押し寄せ、安堵に崩れそうな膝を励ましながら、まず宿屋を探し始めた。
 旅人が珍しい村の子どもらが遠巻きにこちらを...

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