アスパシオンの弟子72 水鏡(後編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/11/21 01:28:54
――「おまえの足は……超合金で出来ているのか?」
数分後。寺院の二階の回廊には、呆れ顔でよろよろ歩くメイテリエの姿があった。
背には革ベルトがついた剣。腕の中にはウサギの俺。実に驚異的な回復ぶりだ。
「ううう、いってえ……」
「アイ...
――「おまえの足は……超合金で出来ているのか?」
数分後。寺院の二階の回廊には、呆れ顔でよろよろ歩くメイテリエの姿があった。
背には革ベルトがついた剣。腕の中にはウサギの俺。実に驚異的な回復ぶりだ。
「ううう、いってえ……」
「アイ...
アイダさんは寂しがりやで。でも面白くて。ちょっとおかしな人だった。 『人生の半分以上を、人工の空を作って生きる。これからもずっと、メニスはそんなせっぱづまった生き方をしそうですから。どうせなら人間とか他の生き物に生まれ変わって、楽しく韻律を使いたいですね』 『楽しく?』 『見ろ、この魔力を! 俺余...
暗く。長く。細い廊下。左右の岩壁にずらりと並ぶ金属扉。 壁に点々とつけられた蒼白い灯り球が、扉に彫られた流麗な竜紋を淡く照らし出す。竜を手なずけ使役していたメニスの一族の、古い紋章だ。 ずるずる這い進む俺の目に、廊下の両端に落ちている白い羽毛が目に入る。どきりとして見渡すも、恐ろしい鳥の気配...
アイテリオンの魔人アイテニオスの凄まじい魔法の気配に、俺だけではなくメイテリエも全く反撃できないようだった。「放せ! 我が父と、私のカイネミリエを侮辱するな!」 とはいえこの重圧の中、口を開いて叫べるのはさすがというしかない。俺なんか少しも自由がきかない……。 「私の、...
あたりに舞い散る白い羽毛。 突き刺さってくる鳥たち。「おじいちゃんを置いていけない!」 叫んでいたのは、レモンだ。 バカな子だ。結婚したがらないのはなぜか知っていたけど、気づかない振りをしてたのに。 早く行け。行くんだ。扉の向こうへ。ほら、風を起こして押し出してやるから…&helli...