自作ドラゴンクエストⅡ~悪霊の神々・127
- カテゴリ: 自作小説
- 2015/11/15 13:23:54
【ドン・モハメ再び】
聖なる織機を携えたロランが古びた戸をたたくと、仏頂面の小柄な老人が無言で現れた。
「何の用じゃ」
「聖なる織機を持ってきました」
真昼の光を背に、ロランは穏やかに答えた。老人――最後の匠であるドン・モハメは、ロランの背に輝く金色の箱を見上げた。短く言う。
「入れ」
北の...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
【ドン・モハメ再び】
聖なる織機を携えたロランが古びた戸をたたくと、仏頂面の小柄な老人が無言で現れた。
「何の用じゃ」
「聖なる織機を持ってきました」
真昼の光を背に、ロランは穏やかに答えた。老人――最後の匠であるドン・モハメは、ロランの背に輝く金色の箱を見上げた。短く言う。
「入れ」
北の...
悪魔神官デモニスとの戦いで愛用の鉄の槍を折られたランドは、ローレシア王から光の剣を譲られていた。
光の剣は、人が作り出せる武器の最高峰だ。ペルポイの町にも売られていたが、値段も相まって、所持する者は世界にわずかしかいないだろう。
先の戦いにおいて、ランドもまたロトの剣を振るうことがあった。今ま...
【北のお告げ所】
船は藍色の海を進んでいた。冷たい風を首筋に受け、ランドがううっと肩をすくめる。
「本格的に秋だねえ。ロンダルキアも寒い所だっていうし、全員分のコートが要るね。山越えの準備もしなきゃ」
「そうだな。どこかで調達しよう」
甲板でランドと並び、水平線を眺めていたロランも、本当に寒...
「父上」
食事が済むと、ロランは父を呼び止めた。
「少し、お話が……」
「うむ、わしもそうしたいと思っていたところだ」
目が合うと、父はそう言ってうなずいた。ランドは、気を利かせて客室へ戻っていった。
王の居室にある露台で、ロランは父と共にローレシア城下町を眺めた。...
【ロトの印】
ルナは落ちこんでいた。
これまで、どんなことがあっても食事は欠かさなかったのに、その夜は部屋にこもって出てこなかった。
「あとでわしがゆっくり話そう」
ロラン、ランドとともに夕食を共にしながら、ロランの父は言った。
悪魔神官デモニスを討伐したのち、ルナはローレシア城の破壊の跡...