Nicotto Town



アスパシオンの弟子86 オルゴール(前編)

『だんなさま』

 はい、俺の奥さん。なんでしょうか?

『できましたっ』

 こ、これは…… 

『ピピちゃんですっ♪』  

 クレヨンで描いたウサギの絵って、俺の似顔絵か。でも体色白じゃなくてピンクなんだね。かわいいねえ。

『レティは、ピンク色が好きなの』

 だ...

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アスパシオンの弟子85 歌の始まり(後編)

『ひとかじりすればそれとわかる
 その根がそうだと魂が気づく
 心をば焦がす橙の炎
 魂をば焦がす聖なる炎
 燃え上がりしその根こそ、
 萌えて芽吹きし力の苗床
 とこしえの世話は豊かな肥し
 とわにふりかかるは水の祝福
 大きくおがりしは新種の根っこ
 みごとに成りし、炎の根っこ 』

 「ニンジ...

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アスパシオンの弟子85 歌の始まり(中編)

 よ……よし! 間一髪間に合った。
 俺は額の汗をぬぐって息を吐いた。感電して手足をぶるぶる震わせている格好で、カルエリカさんとマルメドカくんが固まっている。
 これで俺の邪魔をするものはいなくなった。我が師の暴走と予期せぬ事態にかく乱されたがどうにかなったぞ。  
 俺...

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アスパシオンの弟子85 歌の始まり(前編)

この世には、魂を吸い込む石、というものがある。
 はるかな昔、神獣戦争の時代。山岳地帯にその鉱脈を有したガノン王国は、石の力で天下統一を成しかけた。一説によれば、六翼の女王ルーセルフラウレンが馬鹿みたいに強くなかったら、かの国が覇権をとっていた――かもしれないそうだ。その石があるところは「帰らずの洞...

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アスパシオンの弟子 84 分霊(後編)

 一本完全に崩れた円柱のそばで伸びる三人の魔人。その中のひとりである俺は、呆然とメニスの王に対峙するウサギ頭の我が師を見つめた。その右手はいまや光を収束させてまばゆく輝いている。 こおっ、こおっとなんとも不可思議な響きがそこから聞こえる。精霊の息吹だ。アイテリオンがほう、と声をあげている。「これは...

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