アスパシオンの弟子86 オルゴール(前編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/02/27 11:03:28
『だんなさま』
はい、俺の奥さん。なんでしょうか?
『できましたっ』
こ、これは……
『ピピちゃんですっ♪』
クレヨンで描いたウサギの絵って、俺の似顔絵か。でも体色白じゃなくてピンクなんだね。かわいいねえ。
『レティは、ピンク色が好きなの』
だ...
『だんなさま』
はい、俺の奥さん。なんでしょうか?
『できましたっ』
こ、これは……
『ピピちゃんですっ♪』
クレヨンで描いたウサギの絵って、俺の似顔絵か。でも体色白じゃなくてピンクなんだね。かわいいねえ。
『レティは、ピンク色が好きなの』
だ...
『ひとかじりすればそれとわかる
その根がそうだと魂が気づく
心をば焦がす橙の炎
魂をば焦がす聖なる炎
燃え上がりしその根こそ、
萌えて芽吹きし力の苗床
とこしえの世話は豊かな肥し
とわにふりかかるは水の祝福
大きくおがりしは新種の根っこ
みごとに成りし、炎の根っこ 』
「ニンジ...
よ……よし! 間一髪間に合った。
俺は額の汗をぬぐって息を吐いた。感電して手足をぶるぶる震わせている格好で、カルエリカさんとマルメドカくんが固まっている。
これで俺の邪魔をするものはいなくなった。我が師の暴走と予期せぬ事態にかく乱されたがどうにかなったぞ。
俺...
この世には、魂を吸い込む石、というものがある。
はるかな昔、神獣戦争の時代。山岳地帯にその鉱脈を有したガノン王国は、石の力で天下統一を成しかけた。一説によれば、六翼の女王ルーセルフラウレンが馬鹿みたいに強くなかったら、かの国が覇権をとっていた――かもしれないそうだ。その石があるところは「帰らずの洞...
一本完全に崩れた円柱のそばで伸びる三人の魔人。その中のひとりである俺は、呆然とメニスの王に対峙するウサギ頭の我が師を見つめた。その右手はいまや光を収束させてまばゆく輝いている。 こおっ、こおっとなんとも不可思議な響きがそこから聞こえる。精霊の息吹だ。アイテリオンがほう、と声をあげている。「これは...