アスパシオンの弟子84 分霊(中編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/02/12 16:53:16
「あなたは魔人ではないと思いますが? それにぺぺさんと名乗りましたがそうではありませんね? アスパシオンのペペは時の泉に封印されていますから、あなたは全くの別人でしょう?」
アイテリオンがピンクのウサギ頭の変態を前にして、すん……ごく嫌そうな顔で眉をひそめている。
...
「あなたは魔人ではないと思いますが? それにぺぺさんと名乗りましたがそうではありませんね? アスパシオンのペペは時の泉に封印されていますから、あなたは全くの別人でしょう?」
アイテリオンがピンクのウサギ頭の変態を前にして、すん……ごく嫌そうな顔で眉をひそめている。
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目を開けなさい 私のいとしい子 白き花咲く野辺であなたは見るの うつくしいものが飛ぶのを 風はおどり 大地はふるえ 水はさざめき そして炎は野辺を焼くでしょう
でもあなたは輝き 燃えずに輝き うつくしいものは囁くでしょう
わが主
そして...
そんな自分にいらつきやさぐれて、俺は「僕」から「俺」になった。
すっかり嫌われたと思ってたのに。
二十年後、アイダさんのお葬式にこそっと参列したら、俺宛ての遺言状を街の介護課の役人から渡された。
あの文面。いまだに一言一句覚えてる。
『ピピ様。あなたを傷つけてしまったこと、今でも大変申し訳な...
『ピピ。ピピちゃん……』
ちょっと。そんなにぎゅうぎゅう抱きしめないでよアイダさん。
『ああほんと、毛ざわり最高っ』
いくらモフモフの獣が大好きだからって、俺をウサギにして夜通し抱っこで就寝とかさぁ。これじゃどこかの師匠と変わらないよ。ていうか、我が師よりもべっ...
神聖暦7104「うー……」「ピピさん。どうしたんですか?」
「あ、アイダさん。また割れちゃったんです」
「あらーほんと。見事にまっぷたつですねえ」
天に浮かぶ八番島。
その統一王国時代の設備が整った工房で、銀髪のきれいなメニスが割れた目玉をつまみ上げてころころ笑う。...