アスパシオンの弟子終歌2 赦しの歌(中編)
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/03/18 17:46:32
「……えっと」
たっぷり数分、みな言葉を失っていた。
静寂を破ったのは我が師。その声でハッと俺たちは我にかえった。
ぼりぼり銀髪のカツラをかいて、我が師はみんなに同意を求めた。
「えっと、これって……人畜無害だよな?」
一斉に...
「……えっと」
たっぷり数分、みな言葉を失っていた。
静寂を破ったのは我が師。その声でハッと俺たちは我にかえった。
ぼりぼり銀髪のカツラをかいて、我が師はみんなに同意を求めた。
「えっと、これって……人畜無害だよな?」
一斉に...
使い魔は寺院に連れて行ってよい。
長老トリトニウスの許可を受けて、トルがおのれも小動物に変えてくれと訴えると。
「そんじゃ俺も! 俺も変身したい!」
エティア王がはいはいと手を挙げて割り込んできた。
「おいおい、俺、王様を二人も護衛できる自信ないぞ」
「固いこと言うなよ、おじい。俺様の騎...
驚くには値しない。
ソートくんもカラウカス様も、あの白の導師と取引をした。つまり岩窟の寺院の導師とアイテリオンは思った以上に関係が深いのだ。
前最長老レクサリンはメキドに魔人を封じる棺を貸し出してくれ、公然と白の導師と敵対した。とはいえ、彼が本物のエリシア姫を受け取って封印所に封じた可能性も完...
俺たちが読んだ通り、アイテリオンがいなくなるとすべてがうまく回りだした。
メニスの里も大陸同盟も大混乱。
それを収めたのが、「アイテリオンの実子にして継承者・フラヴィオス」だ。
むろん本人はまだあどけない子供。ウサギランドを造るのに夢中で、難しいことは全くわからない。
なので周囲にい...
歌が空を駆けていく。
歌詞がない、節だけの歌。
天に舞う無数の鳥たちが、歌っている。
地を走るウサギやネズミたちが、歌っている。
ウサギの姿で、俺も歌っている。
蒼く澄んだ湖の岸辺で。
「破れるかしら」
フィリアが心配げに湖の向こうを眺めやる。
「破れるんじゃね?」
我が師が...