毎年この日になると何か書いてきたが、ことしはさすがに、怒る気力はない。
震災当初は、心無い風評、不買運動や、何かにつけて「頑張ろう東北」、口だけで続きもしない黄色いハンカチ運動などに腹をたて、えんえんと流れるあいさつ動物CMにうんざりしていたが、5年もたつと、怒り続けている気力も湧かなくなる。
そ...
日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。
毎年この日になると何か書いてきたが、ことしはさすがに、怒る気力はない。
震災当初は、心無い風評、不買運動や、何かにつけて「頑張ろう東北」、口だけで続きもしない黄色いハンカチ運動などに腹をたて、えんえんと流れるあいさつ動物CMにうんざりしていたが、5年もたつと、怒り続けている気力も湧かなくなる。
そ...
「勇者ロトの血だけがそれをなし得るのは、なぜですか?」
今度はランドが尋ねた。ルビスは答えた。
――ロトがこことは別の世界からきた若者であることは、すでに知っていますね。ロトは、他の人間にはない特殊な魂と宿命を背負って生まれてきた者です。長く魔物の群れに苦しめられてきた人間達の生きたいという強い...
ルビスは、静かにルナの激高を受けとめていた。ゆらゆらと光る青い光の中心に、何も認めることはできない。だが、気配が悲しんでいた。深く同情していた。
――勇者ロトの末裔、ルナ。あなたは竜王の末裔と会って話しましたね。彼は、何と言っていましたか。
ルナは答えない。だが、わかっているはずだった。竜王の...
【精霊の祠】
精霊の祠は、紺碧の海にぽつんと浮かんでいた。
真っ白い石材で造られたそれは、ごく小さな島に建てられており、ロラン達の持つ魔法の地図がなければ発見できなかっただろう。それほどの小ささだった。
島は、一つの岩を浮かべたようなこぢんまりとしたもので、わずかに土があり、冬だというのに緑...
「小さいころ、二人に会えなかったことね……」
3人で、ルナの焼いたおいしいケーキをすっかり食べ終わったあと、ルナはカップを両手で口元に持ち上げ、つぶやくように言った。
「私もずっと考えてた。今までは、お父さま達が時間を作ってお互いに交流する機会があったのに、私達のためだ...