Nicotto Town



8月自作 海 「大海嘯」(後)


 じゅうーと、なんともいい焼き音がする。香ばしい匂いも。

「うっめえ!」

 ウサギ技師の喜びの声は元気いっぱいだ。
 一仕事終えてすかっと気持ちよさそうである。
 結局のところ、剣を持って行ったのは大正解で。水中に没した俺は、ちょっと記憶があやふやなんだが、赤い剣の波動が見事に魚どもの魂を総取...

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8月自作 海 「大海嘯」(中)

「ひいいい! こえええ! 今年は一段と多くないかー?」

 サーフボードに思わずしゃがみこむ黒髪おじさん。

「ああ……奥さんの華麗な水上の舞いを見たかったのに……」

 ウサギがぶつぶついいながら後ろを確認する。

「うわ! なんだかすげえ。...

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8月自作 海 「大海嘯」(前)

 ちりんちりんと、塔の窓からぶら下がっている風鈴が鳴っている。
 真っ赤な金魚の形をしていて、ギヤマン製のおっきい目玉と半分開いた口が、どこかユーモラス。
 世間一般は、夏。
 入道雲がもくもく空に浮かぶ夏。
 ということで、

「海! 海に行くぞぉ!」

 と、俺の雇い主であるウサギ技師は、自走す...

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機霊戦記 第四話 銀の天使(後)

 名乗らないエラそうな銀髪少年は、薄くて綺麗な模様が織り込まれたひらひらの衣一枚、といういでたち。端末フォンのようなものは、何も持ってない。 三日前に拾った時は、背中が焼けてて結構な重症で。 傷を見たじっちゃん曰く(えらく悲愴な顔で)、『翼をもがれた鳥のようじゃなぁ』 つまり体内に機霊が埋まってるら...

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機霊戦記第四話 銀の天使(前)


『うっしゃあ! メイ姉さーん、メケメケの修理終わりましたぁーっ』 おっきなトラック型の反重力推進機(メケメケ)の前で、ぴしっと敬礼する俺に。 おっきなお胸のメガネのおねいさんが、長いみどりの黒髪をなびかせて、嬉しげに微笑む。『わああ、ありがとうテルちゃん!』『どうですぅー? ついでにてきとーに、潜...

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