8月自作 海 「大海嘯」(後)
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/08/31 23:22:44
じゅうーと、なんともいい焼き音がする。香ばしい匂いも。
「うっめえ!」
ウサギ技師の喜びの声は元気いっぱいだ。
一仕事終えてすかっと気持ちよさそうである。
結局のところ、剣を持って行ったのは大正解で。水中に没した俺は、ちょっと記憶があやふやなんだが、赤い剣の波動が見事に魚どもの魂を総取...
じゅうーと、なんともいい焼き音がする。香ばしい匂いも。
「うっめえ!」
ウサギ技師の喜びの声は元気いっぱいだ。
一仕事終えてすかっと気持ちよさそうである。
結局のところ、剣を持って行ったのは大正解で。水中に没した俺は、ちょっと記憶があやふやなんだが、赤い剣の波動が見事に魚どもの魂を総取...
「ひいいい! こえええ! 今年は一段と多くないかー?」
サーフボードに思わずしゃがみこむ黒髪おじさん。
「ああ……奥さんの華麗な水上の舞いを見たかったのに……」
ウサギがぶつぶついいながら後ろを確認する。
「うわ! なんだかすげえ。...
ちりんちりんと、塔の窓からぶら下がっている風鈴が鳴っている。
真っ赤な金魚の形をしていて、ギヤマン製のおっきい目玉と半分開いた口が、どこかユーモラス。
世間一般は、夏。
入道雲がもくもく空に浮かぶ夏。
ということで、
「海! 海に行くぞぉ!」
と、俺の雇い主であるウサギ技師は、自走す...
名乗らないエラそうな銀髪少年は、薄くて綺麗な模様が織り込まれたひらひらの衣一枚、といういでたち。端末フォンのようなものは、何も持ってない。 三日前に拾った時は、背中が焼けてて結構な重症で。 傷を見たじっちゃん曰く(えらく悲愴な顔で)、『翼をもがれた鳥のようじゃなぁ』 つまり体内に機霊が埋まってるら...
『うっしゃあ! メイ姉さーん、メケメケの修理終わりましたぁーっ』 おっきなトラック型の反重力推進機(メケメケ)の前で、ぴしっと敬礼する俺に。 おっきなお胸のメガネのおねいさんが、長いみどりの黒髪をなびかせて、嬉しげに微笑む。『わああ、ありがとうテルちゃん!』『どうですぅー? ついでにてきとーに、潜...