銀の狐 金の蛇 序 夢見
- カテゴリ: 自作小説
- 2016/12/05 21:19:38
文字十万字台、推理もの、という目標でためしにBL18版で書いている横溝せんせえっぽいミステリー推理ものですが、公募用にするために、こちらに改稿版をあげていきます。
改稿版はBLではありません。Rは事件が猟奇っぽいので15ぐらいです。主人公の相方は試験的に女の子になっています。
テーマは第一に親子。そ...
文字十万字台、推理もの、という目標でためしにBL18版で書いている横溝せんせえっぽいミステリー推理ものですが、公募用にするために、こちらに改稿版をあげていきます。
改稿版はBLではありません。Rは事件が猟奇っぽいので15ぐらいです。主人公の相方は試験的に女の子になっています。
テーマは第一に親子。そ...
こうして。
赤毛の少女は去っていきました。
人間たちとウサギと、なんとか息を吹き返した狼と。そして促進剤を乗せたポチ七号はなんと大きな鳥型に変じて、空に舞い上がったのです。ぼろぼろの鉄の竜だけが、私たちのすそ野に残されました。
その出来事はまるで春の嵐のようで、あっという間のことでした。
...
幸い。
戦は、ここにまではおよびませんでした。
けれども私どもにふかふかの土をかけてくれた騎士たちは、狼が消えて三日後に、急いでウサギたちが去った方向へ向かっていき……それから二度と帰ってきませんでした。
この山すそに残ったのは、赤毛で真紅のスカートの少女ひとり...
ウサギたちが「橋の建設現場」へ向かい、夜が二回すぎたあと。 くだんの「作業員」がこのはげた山すそにやってまいりました。 それがあの、背中に金属の筒を背負う赤毛の少女であったのです。 しかも彼女と一緒になんと、黒に銀縁取りの軍服を着た騎士たちもやってまいりました。
「騎士の方々は肥料土をかぶせてく...
その赤毛の少女は、今日も背に負った金筒から水をまきます。
「芽吹いてきますように。緑の野に、なりますように」
祈るように言葉をつむぎながら、切り株だらけの野に、水をまきます。
広い広い山すそは、木がほとんどなくて、無理に体躯をへし折られた切り株だらけ。
私は哀れな様相の山肌にツルを伸ばし...