_久々に日記_
紫煙がくゆらせる煙草の火が
街のネオンに負けじと瞬く頃
俺の胸の奥で、あいつのピアノが鳴り響く「気分はどうだい?」
ガラス越しの夕暮れが、俺にそう問いかける
答えは決まってる
バーボンのボトルを傾け、俺は静かに微笑んだくたびれたトレンチコートの襟を立て
舗道を踏みしめる靴音さえも
今...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
_久々に日記_
紫煙がくゆらせる煙草の火が
街のネオンに負けじと瞬く頃
俺の胸の奥で、あいつのピアノが鳴り響く「気分はどうだい?」
ガラス越しの夕暮れが、俺にそう問いかける
答えは決まってる
バーボンのボトルを傾け、俺は静かに微笑んだくたびれたトレンチコートの襟を立て
舗道を踏みしめる靴音さえも
今...
Ⅰ
だれも知らない草の葉の
そのかそけき囁きのひびく処で
ぼくらはそっと息をひそめてゐた
夕闇のなかに風がそよぎだすのを遠い街のざわめきをよそに
ちひさな雲が夜の隅に迷ひこむ
きみの横顔はかすかに匂ひ
ぼくの心は千々に震へてゐたそのとき 静かな水のおもてに
ひとつのひかりが零(こぼ)れ落ちた
それは...
開け放たれた窓辺のむこう
夜の風がパステル画の雲を運んでゆく
ぼくは古い日記の頁をひそかに繰り
あの日、きみと息をひそめた秘密の場所を想ふ遠い街のざわめきをよそに
静かな河のおもてに零れ落ちたひとつのひかり
それは音のない、夏の日の花火の
かなしい追憶のはじまりのやうだったあかいひかり、あをいひかり...
ひらかれた窓のむこうの暗い夜のなかに
風はあわただしく ちぎれた雲を運んでゐる
ぼくはひとり失はれた季節の日記をひらき
あの日きみと息をひそめた秘密の場所を想ひだす遠い街のざわめきは かすかな囁きとなり
静かな河のおもてにひとつのひかりが零れ落ちる
それは音もなく闇にひらかれた夏の花火の
かなしい追...
ひらかれた窓のむこう 夜の風が冷たく渡り
パステルの画のやうな雲は やがて闇に消えてゆく
ぼくはひとり薄明のなかで 古い日記を閉じ
あの日きみと息をひそめた秘密の場所を弔(とむら)ふ遠い街のざわめきも絶え 消え入る音楽のやうに
静かな河のおもてに ひとつのひかりが零れ落ちる
それは音もなく引き裂かれ...