草の葉の そよぎのあとに
白い露のひとしづく――
それは夜のなごりのやうに
かすかなる ひかりを宿してゐる風はどこからともなく吹いてきて
冷やかな その肌をなでてゆく
私はおまへに語らうとする
だれもきいてゐないと知りながらおまへは静かにうなづいて
朝の光のなかに消えてゆく
夢のあとの やさしい幻の...
ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。
草の葉の そよぎのあとに
白い露のひとしづく――
それは夜のなごりのやうに
かすかなる ひかりを宿してゐる風はどこからともなく吹いてきて
冷やかな その肌をなでてゆく
私はおまへに語らうとする
だれもきいてゐないと知りながらおまへは静かにうなづいて
朝の光のなかに消えてゆく
夢のあとの やさしい幻の...
明るい月が 静かに昇る
硝子窓の向かうの 薄青い夜の中に
微かな風が 薄の葉を揺らし
私の部屋の 灯火を吹き消す暗がりのなかに 朽ち葉の匂ひが満ちて
どこかで 小さな虫が鳴いてゐる
それは 一つの優しい記憶のやうに
冷たい光を 床の上に広げる溢れるほどの 悲しみのやうな
冷えまさる夜気に 身を浸しつ...
あんなに静かに降っていた 秋の雨が上がり
雲の切れ間から 深い夜がひらけてゆく
夕凪の海は いまや大きな鏡となって
降りてくる無数の星影を その胸に受けとめているそこには だれの人影もない
ただひとりの わたしの影のほかには
岬のさきで 濡れていた風信器(ふうしんき)も
いまは銀の光を浴びて かすか...
しめやかな秋の雨が そっと濡らしている
東の果ての さびしい砂のひろがりを
夕凪の海は かすかな呼吸(いき)さえわすれ
鏡のように ただ静かにひそんでいるそこには だれの人影もない
ただひとりの わたしの影のほかには
岬のさきで 濡れた風信器(ふうしんき)が
いまは応える風もなく ひっそりと黙りこむ...
しめやかな秋の雨が そっと洗う
遠い東の 平らな砂のひろがりを
日暮れの海は 風をわすれて
鏡のように ただ静かにひそんでいるそこには だれの人影もない
ただひとりの わたしの影のほかには
失われた季節の 淡い記憶のように
波の音さえも やさしく途絶えてあたたかい涙のような 雨のしずく
それはわたし...